<将来に「希望がある」と感じる日本の20代の割合は、他国と比べると格段に低い。なかでも男性の正規・非正規の間の「希望格差」が突出している>

 人は将来を展望して生きる存在だ。今の状況が思わしくなくても、将来に展望が開けていると信じられるならば、それほど苦痛には感じない。前途ある若者の場合は、特にそうだ。

 世論調査のデータによると、日本の若者の生活満足度が高まってきている。昨今の若者の厳しい状況を思うと違和感があるが、それは将来に展望が開けていないことの裏返しでもある。「今日よりも明日がよくならない」と思う時、人は「今は幸せ」と答えるのだという(古市憲寿『絶望な国の幸福な若者たち』講談社、2011年)。

 逆に言うと、「今日よりも明日がよくなる」という展望が開けているなら、「今は不幸」と感じるとも言える。これからの見通しが開けているのに「今が幸福」と言いきってしまえば、将来の明るい展望に蓋をしてしまうことになるのだから。

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 未来を担う若者の意識を読み解くには、「希望」に着眼することが重要だ。しかし日本の若者は、他国にくらべて希望を持っていない。20代のうち、「希望がある」または「どちらかといえば希望がある」と答えた人の割合は、日本が54.6%、韓国が87.4%、アメリカが88.9%、イギリスが88.1%、ドイツが80.5%、フランスが80.7%、スウェーデンが89.2%となっている(内閣府『我が国と諸外国の若者の意識に関する調査』2013年)。日本の比率は格段に低い。

 では、希望を持っていないのはどの層か。20代のサンプルを、性別と「従業上の地位(正社員か否か)」で分けて、グループごとの希望率を計算してみると<表1>のようになる。ここでの分析対象には、在学中の学生は含んでいない。

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 日本の数値は際立って低く、女性よりも男性、正社員よりも非正社員が希望を持っていない。男性では正社員と非正社員の差が大きく、後者の希望率は3割しかない。性別の役割観が強い日本では、低収入の非正規雇用男性は、結婚などの展望が持ちにくいためだと思われる。まさに「希望格差」だ。

舞田敏彦(教育社会学者)