両親の写真に見入る阮美シュさん=2005年撮影

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(台北 30日 中央社)1947年に起きた二二八事件の真相解明に尽力し、日本でも「台湾二二八の真実―消えた父を探して」などの著書を出版した阮美シュ(げん・みす)さんが28日、亡くなった。各界で深い悲しみが広がっている。(シュ=女へんに朱)

阮さんの父・阮朝日さんは当時、大手紙・台湾新生報の総経理(社長)。病床にあったが、5人の男に連れ去られ、行方不明となった。阮さんはその後留学先の日本で読んだ本で、朝日さんが反乱罪で死刑となったことを知り、真相を確かめようと、独自での調査を始めた。

積極的な犠牲者遺族への取材を通じて遺族の「抑圧された心の痛み」の理解に取り組んだほか、関連資料の収集にも励んだ。3年前の新書出版時には、「台湾は中国のものではない」とし、台湾人には尊厳とアイデンティティー、この土地の歴史を理解する必要があると語っていた。

二二八基金会董事長(会長)の薛化元・政治大学教授は、阮さんは一生をかけて無数の資料と回顧録を残したと語り、研究者の重要な参考資料となったと貢献を振り返っている。

【 二二八事件 】国民党による統治に不満を抱いた市民が起こした抗議デモを政府が武力で弾圧し、その後長期にわたる白色テロのきっかけとなった。罪のない人を含め多くの台湾人が連行され、多数の死者・行方不明者を出した。

(編集:齊藤啓介)