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東京大学(東大)は11月29日、DNAの遺伝情報がRNAに読み取られた後、RNA配列が書き換えられる「RNA編集」という現象が1日の特定の時刻に起こることを発見し、さらに体内時計が多くの生理機能リズムを生み出すにはADAR2が重要であることを明らかにしたと発表した。

同成果は、東京大学大学院理学系研究科 寺嶋秀騎特任研究員と吉種光助教、深田吉孝教授らの研究グループによるもので、11月28日付けの英国科学誌「Nature Genetics」オンライン版に掲載された。

睡眠覚醒リズムや血糖・脂肪酸などの代謝物のリズムといったような多くの生命現象は、約24時間周期のリズム(概日リズム)を刻んでいる。これらのリズムは、ほぼすべての生物が体内に備えている概日時計の中心において、時計タンパク質CLOCKが多様なRNA量のリズムを転写制御することにより生み出されている。近年、RNA分子への制御がこの概日時計のリズム出力に重要な役割を果たすことがわかってきたが、その仕組みは不明となっていた。

今回、同研究グループは、RNA上の遺伝情報であるアデノシン(A)をイノシン(I)へと書き換えるRNA編集酵素ADAR2に着目。ADAR2タンパク質の量が1日をとおして変化しており、132種類のRNAにおいてRNA編集の効率がお昼をピークとした日内リズムを示すこと、Adar2遺伝子を欠損したマウスにおいてRNA編集のリズムが消失していることを見出した。

さらに、Adar2欠損マウスにおいては359種類ものRNAの量のリズムが消失しており、その結果として血中の脂肪酸量や高脂肪食を食べた時の体重増加に異常が見られることを明らかにした。

またAdar2欠損マウスの輪回し行動リズムを測定したところ、通常のマウスより短周期の活動リズムを示したという。これはADAR2が概日時計のリズム振動本体そのものにおいても重要な役割を果たしていることを意味している。

同研究グループは、今回の成果について、概日リズムの異常がもたらすメタボリックシンドロームなどの疾患の予防や治療に役立つことが期待されるとしている。

(周藤瞳美)