29日、チャンピオンシップの第1戦で、植田直通はベンチから自分のチームがホームで敗れていくのを見ているだけだった。

正確に言えば、国際Aマッチに出場経験がない植田は、まだ日本代表選手ではない。それでもワールドカップ最終予選には呼ばれ続け、他の選手たちに混じって練習はこなし続けている。またリオ五輪では3試合すべてでフル出場し、貴重な経験を積んだ。そんな年のリーグを締めくくる初戦を、植田はピッチの外で迎えていた。

代表選手の一員であるというプライドはあってもおかしくない。実際、植田はそういう自負は「ある」という。そしてその自分がピッチに立っていない現状については、「誰もが味わっていないことを自分は味わっていると思う」と語った。決してコンディションが悪いわけではないし、「日々の練習から100パーセントやっていますし、自分のプレーも出来ていると思います」と言う。

しかし植田は決して落ち込んだり、ひねたりするタイプではない。

「これを乗り切ったら自分はもっと強くなれると思います。だから僕は腐らずにやっていこうと思っています。ここまで来たら、チームの総力戦なので、僕個人の考えではなく、チームとして考えていきたいと思います」

「自分の感情は押し殺しています。あとは自分にチャンスが来たときに爆発させるだけ。それを今溜めてます。試合に出たときにしっかりと自分のチャンスをつかむだけだと思いますので、ちゃんと準備したいと思います」

では植田は初戦をどう見ていたのか。浦和対策の練習どおりにいった部分はあったし、チャンレンジも出来たという。そして「前半0-0で行って、後半仕留められればいいという考えでいましたし、0-1でも次の試合で必ず逆転できると思います」と胸を張った。

出場できなかった悔しさについて聞かれ、植田は「(自分は)まだまだ成長しなければいけないので」と話題を締めくくった。日頃からキリリとした表情で受け答えをする植田だが、この質問のときはさらに表情が引き締まった。厳しい問いかけにも正面から向かい合う植田の姿勢は、代表選手にふさわしかった。

【日本蹴球合同会社/森雅史】