HIV陽性者の8割が職場で告白できない「誤解と差別」の現実

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かつてエイズは「死の病」として恐れられた。しかし、効果のある治療薬が相次いで誕生している。現在はHIVに感染しても、エイズの発症を抑えながら、一生を過ごすことが可能となっており、治療中のHIV陽性者は感染源にもならないとされる。それだけに早期発見・治療が有効なのだが、日本は先進国中ではHIV検査を受ける人が少ない。しかも、日本の職場では、HIV陽性者は差別を恐れて告白できず、肩身の狭い思いをしているのが実情だ。折しも、明日、12月1日は「世界エイズデー」。エイズ/HIVの問題について、改めて考えてみるといいだろう(医療ジャーナリスト 木原洋美)

偏見がうずまく
企業側の声

「HIV陽性者が何らかの原因で大量出血した場合、その血液に触れた他の職員もHIVに感染してしまうという危険があるのではないか」

「採用した社員が他の社員と恋愛関係になったとする。そこで予防せずにセックスをして感染させてしまったら、『会社はその社員がHIVであることを知っていながら採用した。自分が感染したのは会社の責任である』と訴えられるのではないか」

 HIV感染症による免疫機能障害は、障害者雇用率制度や助成金制度の対象になっているため、企業はHIV陽性者の雇用に無関心でいるわけにはいかない。

 そこで研修が企画され、講師に招かれるのが、HIV/エイズとともに生きる人たちがありのままに生きられる環境(コミュニティ)を創り出すことをめざして活動する特定非営利活動法人「ぷれいす東京」の代表・生島嗣氏なのだが、行く先々で、人事担当者や経営陣から冒頭のような質問を投げかけられるという。

「想像力たくましいというか、不勉強な上に、偏見に満ちた質問です。私はそのたびに『では、あなたはこれまでの社会生活の中で、そういう場面に遭遇したり、実例を見聞きしたりしたことはありますか』と尋ねるのですが、それは『ない』とおっしゃる。これが多くの日本企業の現状です。HIV陽性者を雇うという場面に出くわすと、可能性の小さいことをものすごく大きく捉え直してしまう」(生島氏)

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