カットのみ10元の床屋で髪を切り終えた筆者。後方で電話をしているのはバリカンで私のモミアゲを刈り取った少女。撮影時にはハサミを持っているが、少なくとも私の時に、それを使うことは無かった。

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先日、上海市の人民広場付近で「無料で髪切りますよ」と誘い込んだ女性客に対し、高額な染髪液を使用したとして2200元(約3万6000円)を騙し取るという事件が起こった。

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上海市内にはローカルからハイクラスまで様々な理髪店、美容店がある。日系雑誌に掲載されているような「身元が確実」かつ「日本、または海外で修業し」「言語が日、英のどちらか、または両方を解する」レベルの美容店だとカットのみでも最低で250元(約4000円)、パーマやブロー、トリートメントを含めると1000元(約1万6000円)、2000元(約3万2000円)を超える店も珍しくない。

以前のコラムでも述べたが、手取り額が6000元〜7000元(約9万2000円〜10万7000円)の若者には、ホイホイと出せる金額ではない。だがインフラを下げようと思えば、いくらでも下げる選択肢があるのが中国。カットのみで10元(約160円)の店を発見したため、私自ら体験してみることにした。

外から見る限りでは客層は地元の奥様方が中心で、特に髪も切らず井戸端会議に花を咲かせていた。店に入るといきなりタバコを吸いながら店主らしき人間が登場。髪を切るのか?と聞かれたので、髪だけ切るから短くしてくれと頼むと「切るだけなら娘がやるからそこに座ってろ」と一喝された。

その後、学生と思しき少女がバリカン片手に現れ何も言わずに散髪用マントを被せると私のモミアゲから一気に刈り上げはじめた。

えっ?目の前にあるハサミは?「無理。だって私免許無いもの」と少女。「だったら免許あるやつが切れよ」という主張は無視され、そのままバリカンのみで刈り上げられた。刈った髪が顔にかかって痒いのなんの、せめて顔だけは払ってくれとお願いすると明らかに嫌そうな顔をして、ガラス拭き用のスポンジで顔をこすられた。

そんなこんながあり、出来あがったのが上記写真。モミアゲは失ったが、見た目はさほど悪くないではないか。それまでの不便さに目をつぶれば利用できないレベルではない。その後、料金の上乗せもいかがわしい案内もなく、10元を支払い即リリース。だが帰る際に「免許が無い」とバリカンのみで終わらせた少女が次に来たオバちゃんに対してはハサミを使って対応していたのを私は見逃さなかった。

■筆者プロフィール:川崎健太郎
経歴:1988年、神奈川県川崎市生まれ。日本大学法学部新聞学科卒。富士見書房ファンタジア文庫編集部(現株式会社KADOKAWA)、時事通信社運動部を経て、2015年より一念発起し中国、上海市へ。中国語で挨拶もできない中で在駐日本人向け雑誌の編集、営業に携わる。専門分野はアニメ漫画等のサブカルチャーとスポーツ関係全般。