19日から開催されていた囲碁における人間とコンピュータの対決イベント「第2回囲碁電王戦」が、23日の第3局をもって終了した。結果は2勝1敗で人間側の勝利となった。

 第2回囲碁電王戦は、現役トップクラスのプロ棋士である趙治勲名誉名人と囲碁ソフト『DeepZenGo』との間で、互先(ハンデ無し)の三番勝負として行われたもの。第1局を趙名誉名人が、第2局をDeepZenGoが取り、そして第3局を名誉名人が制し勝利を収めた。

 囲碁AIの世界では、2015年にGoogle社が開発した人工知能『AlphaGo』が史上初めて人間のプロ棋士を破ったことが記憶に新しいが、DeepZenGoはこのAlphaGoを超えることを目指して、東京大学・ドワンゴなどの協力のもと開発された国産ソフトである。

 対する趙治勲名誉名人は現在60歳、史上最多のタイトル獲得数74、棋聖・名人・本因坊の三大タイトル独占、七大タイトル制覇(いずれも史上初)など数々の偉業で知られる、日本囲碁界の第一人者。

 そもそも囲碁は、オセロ、チェス、将棋などと比べた場合にコンピュータにとって扱いがとりわけ難しく、AIが人間のプロを破るにはまだ長い時間がかかると言われていた。その壁を打ち破ったのがAlphaGoであったわけだが、今回は人間側が結果を残す形となった。

 とはいえ、もはや人間とコンピュータの盤上対決は「どちらが強いか」だけの問題ではなくなって久しい。人間がAIの棋譜から学べることは数多く、人工知能と棋士は既に共に切磋琢磨しあう存在である。趙名誉名人は今回の対局の感想の中で、「DeepZenGoは強いが、ミスもする。まるで人間と打っているかのようだった」と述べている。かつて1997年にチェス王者カスパロフがディープ・ブルーに敗れた後、「異星人の知性を感じた」と語ったのとは対照的だ。

 囲碁電王戦の次回開催についてはまだ何も公表されていないが、将棋の第2期電王戦は2017年に開催される予定である。こちらも楽しみにしたい。