日本・中国の「起業家精神」指数、改善も米国とは大差

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世界経済にとって最も重要なリソースである起業家精神について、日本と中国には大きな前進がみられる。ただし、米国の非営利団体、グローバル・アントレプレナーシップ・アンド・デベロップメント・インスティテュート(GEDI)がこのほど発表した2017年版のランキングによると、米国に追いつくまでには両国ともに、まだまだ長い道のりが待ち構えているようだ。

新たに公表されたランキングでも、1位は前回(2015年版)と同じ米国だった。日本は25位、中国は48位だったが、いずれも前回の33位、61位から大きく順位を上げている。米国に次いで上位に入ったのは、カナダやスウェーデン、オーストラリア、アイスランドなど。

世界第2位と3位の経済国である日中両国には、こうした結果を残念なものとみる向きもあるかもしれない。だが、両国の現状にはそれぞれ明確な理由がある。両国は米国に比べ、起業家精神を育むために重要な要素が不足している。それは、人材を確保し、維持する力だ。

世界経済フォーラム(WEF)が発表した2016〜17年版の国際競争力ランキングでは、米国が「優秀な人材を誘致する力」の項目で5位だった一方、中国は22位、日本は77位だった。「人材を確保する力」でも、米国は2位で中国の33位、日本の38位を大きく上回っている。

・日本の問題点

国にこれらの力が不足しているということは、若い有能な人材の減少に直面している日本にとって、より重大な問題だ(起業活動に関与するのは大抵が若い人たちだ)。日本はこうした要因によって外国人の誘致・確保に困難を抱えている上に、厳格な移民政策と保守的な企業風土によって、人材不足が加速している。

・中国の問題点

一方、中国で起業家精神の育成が難しい原因は、発案者や起業家、ビジネスにおける先駆者たちを重視しない同国の文化規範にある。人材の誘致・確保以上に大きな問題だ。

さらに、中国には世襲制が根付いている。日本と異なるのは、家族の資産は全ての息子たちが受け継ぐという点だ。日本では長男以外の息子たちには家業を継ぐべきという圧力がかからない傾向があるため、起業して独自にビジネスを始めたり、専門技能を磨いたりという新たな機会を追い求めることにつながっている。

そのほか中国には、共産主義の遺産もある。市場経済においては通常、消費者の需要が先にあるものだが、中国での起業は、リソースのある側が市場に供給するという立場を取る。これに関しては、テンセントやアリババ、シャオミ、バイドゥなど消費者の需要に基づき起業された数多くの例外もあるが、起業家精神のランキングで中国を米国に匹敵するほどの上位に引き上げるには、十分な数とはいえない。