キム・ハヌル(韓国)の優勝で幕を閉じた「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」。高麗芝のグリーン、そして周りはティフトン芝が生い茂る今年行われた3つのメジャーとは異なるコンディションで行われた最終戦。そんな国内女子ツアー最後の戦いを上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が振り返る。
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■高麗芝攻略はキャディとの試行錯誤の賜物
イ・ボミ(韓国)や鈴木愛といった名手も苦戦する中、ハヌルは先週まで使用していたピンタイプのパターからオデッセイの「WHITE HOT RX パター #5CS」にスイッチして高麗芝を攻略。2日目には約20mのイーグルパットを沈めるなど、大きな原動力になった。このクラブ変更について「フォローを低く出すための選択だと思う」と辻村氏は解説する。
「ハヌルは1年を通してショットは良かった。またアプローチもフェース面の使い方にバリエーションが出てきて、引き出しがとても多くなっていました。だから、どの試合もパター次第だな、と僕は見ていました。本人も課題としていたのでしょう、今年は1年間帯同しているキャディの小谷健太氏と一緒に様々な試行錯誤をしていました。そしてエリエールの時に“まっすぐのストロークでフォローを低く出す”ことを意識した練習を繰り返していました。その時にピンタイプよりもまっすぐ低く動きやすいマレットの方が良いと考えたのでしょう。申ジエやイ・ナリのパターを借りて転がしたりしていました。また、まっすぐ動くということはクラブを吊るようなかたちにした方が良い。それならば来年に向けて試すという意味でも“センターシャフトにしよう”という一連の流れで今回のパターを選んだのではないでしょうか。将来を見据えたスイッチが今大会でいきなり最高の結果を生み出しましたね」
センターシャフトにした効果は他にも。「ボールと自分との間隔が狭まるので、しっかりと体のエネルギーが球に伝わって、強くてしっかりとした良い転がりの球が出ていました。今大会のトップ3は全員センターシャフトだったことからも高麗グリーンとの相性の良さを感じてもらえるのではないでしょうか」。多くの選手が苦戦するグリーンで、終盤の13番、14番と4mのバーディパットを連続で決められたのも、しっかりと打ちだせる新相棒あってこそだ。
「今大会だけでなく今年の女子ツアーは雨が多かったこともあり、重たいグリーンがかなり多かった。だから例年以上にしっかりと打てるセンターシャフトを導入する選手が多かったですね。この傾向は来年も続くのではないでしょうか」
■“みっすー”の最後のショットに賞金女王の可能性を見た
もう1人、最終戦で強さを見せたのは2位に入った成田美寿々だろう。2日目を終えて首位と11打差の21位タイと出遅れたが、後半の2ラウンドを共に“66”でラウンド。一時はトップに並ぶなど最後までハヌルに食らいついた。
「終盤にかけて爆発力のあるみっすー(成田の愛称)が戻ってきていました。今大会はその集大成だったと思います。今年の前半はクラブと体がバラバラで自分のスイングを見失っていたように見えました。ドローにこだわった結果、クラブが下から寝て入ることで体が傾いて右足に体重が残っていましたから。また傾いているせいでボールに届かず手でこねるような打ち方になっていた。つまり球をねじろうとして、体もねじることで手でねじって修正してしまっていたのです。それが途中でフェード系の球筋に変えたことで、しっかりと体の回転ができるようになって、左足に体重が乗るようになった。僕が思うに彼女のような上から叩くタイプはフェードの方が合っている。また、ピンをガンガン狙ってバーディの量で勝負するタイプの彼女には、曲がり幅で細かい距離感をコントロールしやすいフェードはマッチしていますからね。それがスランプから脱出できた理由ではないでしょうか」
中でも辻村氏が絶賛するのが最終18番で30cmにつけたセカンドショットだ。「最後の1打で見せた力みのない滑らかな円運動は、彼女の良さが全部出た最高のショットでした。あのプレーを観て、来年のみっすーのイメージが沸きました。今のスイングをオフで確立していけば間違いなく、賞金女王候補の1人となるでしょう」
解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。今季は上田の出場全試合に帯同し、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。
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