北朝鮮では、住宅は国から支給されるものであり個人所有物ではない。売買も禁止されているが、実際には不動産市場が存在し、活発な取り引きが行われている。

その中心にいるのが不動産ブローカーだ。北朝鮮不動産市場の最新状況を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、清津(チョンジン)市内には住宅を専門に扱うブローカーが大勢いる。中でも、水南(スナム)区域のP氏や浦港(ポハン)区域のC氏が知られているという。彼らの多くが国営企業や機関に所属せず、前科者だったりする。それでも、司法機関や権力機関との太いパイプを利用して、不動産仲介業を営んでいる。

ブローカーたちは、家を売ろうとする人のもとを訪ねて、自分たちに任せるように半ば強引に契約をまとめる。安く買い叩いて、高く売り飛ばすだけでなく、2〜3割に達する非常に高額な仲介手数料まで手にする。

ちなみに、日本では3〜5%、韓国では0.4〜0.9%、中国では5〜10%であることを考えると、彼らのせしめる仲介手数料がいかに高いかがわかる。暴利と言えば暴利だが、一概に否定できないのが、この額には「安心料」が含まれているからだ。

住宅の取り引きが違法のため、売買が発覚すれば住宅は没収されかねない。そうならないためには、区域の人民委員会(区役所)の住宅管理課や保安署(警察署)にワイロを渡さなければならない。ブローカーに頼めば、登録や移転の手続きなどの面倒な手続きをすべてやってもらえる上に、摘発される心配もない。

不動産取引が活発になるにつれ、環境に合わせて不動産価格も変動するようになった。

その最大の要因はロケーション。北朝鮮では平壌を除き、公共交通機関が発達していないため、経済の中心地である市場に近い地域ほど価格が高くなる。この傾向により、市内中心部より市場に近い地域の住宅の値段が高くなる逆転現象も起きている。

市内中心部の浦港区域の金日成氏、金正日氏の銅像のすぐそばにある新築マンションは2万ドル(約226万円)で取り引きされているが、市場に近い水南区域の一戸建ては5万ドル(約564万円)を超えているという。

北朝鮮では、90年代の中国のように、大量のカネが不動産市場に流れ込みつつあり、全国的に不動産価格が上昇傾向にある。平壌市内の中区域、牡丹峰(モランボン)区域、平川(ピョンチョン)区域では、新築マンションが10万ドルから20万ドル(約1130万〜2260万円)で取り引きされている。

また、清津市内でも10万ドル台の高級マンションが登場した。

高級マンションは、部屋が3つ以上あり、100〜150平米のゆったりした間取りだ。設備も整っている。このような高級マンションは、貿易会社の社員や、海外に親戚を持つ人など、出処の明確なカネを持った人の間で人気だという。