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日本マイクロソフトは11月25日、最高技術責任者 榊原彰氏による同社のAI関連の取り組みについて説明するラウンドテーブルを開催した。

榊原氏はマイクロソフトのAIの取り組みついて、「一番重要なのはAIの民主化だ。これは、クラウド上のAIのパワーを誰でも使いやすく、リーズナブルな価格で提供しようということだ」と説明。

代表例がWindows 10のAgentとして提供されているパーソナルアシスタント機能「Cortana」(コルタナ)で、「Cortana」はすでに世界で1億3,300万人が使っており、120万の質問に回答しているという。

榊原氏は、「これによってCortanaは学習し、予定なども把握しており、パーソナルアシスタントして育っていくはずだ」と述べた。

そして今後は、SaaSアプリ「Office 365」や「Dynamics 365」にもAIを取り入れていくという。

Office 365では、ユーザーの働き方、時間の使い方、アプリの使用頻度などを解析。Dynamics 365では、CRM上の見込み客、取引情報などを分析し、リレーションシップの拡充を図ることに利用していくという。また、内部のデータだけでなく、顧客のSNSの投稿など外部データも活用し、顧客が何に興味があるのかを解析したりするという。

そのほか、榊原氏はカスタマーサポートにもAIを活用できるとした。顧客との会話を解析、Botが自動的で回答しようという試みだ。実際、三井住友銀行は10月31日、オープンソースの深層学習開発ツールキットである「The Microsoft Cognitive Toolkit」を活用した対話型自動応答システムの構築に着手したと発表している。同行では、これまで行員が対応していた照会応答業務に対話型自動応答システムを導入することで、専門家と直接対話しているように迅速・丁寧・正確な応対を可能とし、従業員の生産性の向上や顧客サービスの価値の向上に取り組むという。 榊原氏は、「三井住友銀行様の特徴は、行員同氏の応答にも使おうとしている点だ。今後はBotで自動応答する仕組みが増えるだろう」と語った。

また、同社はインフラにおいてもAIの活用に取り組んでいるという。深層学習では行列演算を多用するためGPUのパワーを必要とするため、CPU+GPUで実現する例が多いが、榊原氏によれば、GPUは電力消費が高く、要求される処理性能が需要に追いつかないという課題があるため、マイクロソフトではFPGA(field-programmable gate array)を利用し、CPU+GPU+FPGAで処理することに取り組んでいるという。FPGAにより論理回路をプログラミングで行うことによって、必要な回路を何度でも変更することが可能となり、圧倒的なスピードとスケールが実現できるという。

榊原氏は「マイクロソフトはBingをFPGAで動かしてきた実績があり、ノウハウがある」とした。

以下の動画はFPGAのデモ(53:50くらいから)。

マイクロソフトが提供する機会学習サービスとしては、より低レベルの「Cognitive Services」から「The Microsoft Cognitive Toolkit」(CNTK)/DMTK(Distributed Machine Learning Toolkit)まで3つあり、「Cognitive Services」は、認識に利用するAIをAPIとして提供することで、Azure上で自分のプログラムを組み込んで利用できる。

たとえば、動画から物体を認識したり、顔の表情から相手の感情を読み取る、機械翻訳などが可能になるという

機械翻訳については現在、テキストベースで52言語、音声ベースで8言語に対応。8言語の中に日本語は含まれていないが、榊原氏は近々日本語もリリースすると語った。

榊原氏によれば画像認識技術についてはすでに人間の能力を超えており、この技術を画像の中から物体の領域を識する「Semantic Segmentation」に利用しているという。

同氏は機会学習について、「アルゴリズムよりも、どういったデータを使って学習させるか、どういったデータで検証するかが重要で、それによってモデルの正しさを検証していくことが必要になる。これまで、プログラムとアルゴリズムに作ってきた世界を、データと機会学習に置き換えることによって、コストを安くできる」と述べた。

(丸山篤)