■WEEKLY TOUR REPORT 米ツアー・トピックス

 2016−2017シーズンがスタートしたPGAツアー。レギュラーツアーの今年最後の試合となるRSMクラシック(11月17日〜20日/ジョージア州、シーアイランド・リゾート)が開催されている裏で、ジョーダン・スピース(23歳/アメリカ)が"復活の気炎"を上げた。地元アメリカではメジャー2勝を挙げるなど、大ブレイクした「2014−2015シーズンの再現なるか!?」と話題になっている。

 スピースが躍動したのは、オーストラリアのロイヤルシドニーGCで開催されたザ・エミレーツ・オーストラリア・オープン(11月17日〜20日)。トップと2打差の2位タイで迎えた最終日、一時は優勝争いから脱落しそうになったが、終盤の勝負どころとなる"クラッチパット"を決めると、キャメロン・スミス(23歳/オーストラリア)、アシュリー・ホール(33歳/オーストラリア)とのプレーオフへと持ち込んだ。

 そして、プレーオフのひとホール目、スピースは3mのバーディーパットをカップのど真ん中から沈めた。彼らしい強気のパットを見せて、見事な勝利を飾った。

 スピースが強かったのは、まさに"クラッチパット"をことごとく決めたことにある。このパットが決まりだしたら、"復活"は本物だ。

 今大会の勝利は2014年大会に続いて2度目となるが、スピースにとって、ここで勝ったことは大きな意味がある。なぜなら、スピースが2015年に世界一へと上り詰めたときも、2年前のこの勝利から始まっているからだ。

「すべては、ここから始まったんだよ」

 2年ぶりの勝利を手にしたあと、スピースもそう語って、その当時のことをもう何年も前のことのように懐かしんで目を細めた。

 2014年11月、当時21歳のスピースは、日本ツアーのダンロップフェニックスで松山英樹、岩田寛らと優勝を争ったあと(結果は3位タイ)、このオーストラリア・オープンに参戦。そこで、2位に6打差をつけて快勝すると、次戦のタイガー・ウッズ主催のヒーロー・ワールド・チャレンジでも驚異的な強さを発揮し、2位のヘンリク・ステンソンに10打差という大差をつけて優勝した。

 そして迎えた2015年、スピースは凄まじい快進撃を見せた。3月のバルスパー選手権で優勝し、4月のマスターズでメジャー初制覇を果たすと、6月の全米オープンも制してメジャー大会を連覇。"年間グランドスラム"達成という、大きな期待も膨らんだ。

 結局、セントアンドリュースで行なわれた7月の全英オープンは首位と1打差の4位に終わり、8月の全米プロ選手権ではジェイソン・デイと最後まで熾烈な争いを演じて2位。歴史的な快挙達成は惜しくも叶わなかったものの、シーズン最終戦のツアー選手権を制して年間5勝を挙げ、フェデックスカップの王者にも輝いた。そのままスピースは、22歳にして世界ランキング1位の座に就いたのだ。

 ところが、昨季の2015−2016シーズンを振り返ってみると、その2014−2015年シーズンの印象が強烈だっただけに、それほど活躍したイメージがない。年明けのヒュンダイ・トーナメント・オブ・チャンピオンズ、5月のディーン&デルーカ招待と2勝しているにもかかわらず、低迷した印象さえある。

 そう感じさせるのも、"マスターズの失速"があったからだろう。

 最終日のバックナインを迎え、5打差のリードを奪って首位に立っていたスピース。前年に続く2枚目のグリーンジャケットを誰もが手にすると思っていたが、「魔女が棲む」と言われるアーメンコーナーの12番パー3で悲劇は待っていた。まさかの池ポチャ2回。優勝争いから脱落して涙を飲んだことは、今なお記憶に新しい。

 以来、ディーン&デルーカ招待で優勝してはいるが、スピースの苦悩はずっと続いていた。

「マスターズで負けたことは忘れたつもりだったけど......。(あれから)どうしてもパットが思うように決まらなくなった。特にプレッシャーが大きくかかったときは、ショットも、パットもどこか微妙にズレていたんだ」

 だが、今回のオーストラリア・オープン最終日は違った。スピースが興奮気味に語る。

「パットを沈める感覚が本当によみがえった。特にプレーオフでのプレーは素晴らしかった。ティーショット、セカンドショット、そして最後のバーディーパット。すべてにおいて、プレッシャーのもとでも、本当に体がスムーズに動いたんだ」

 確かな手応えをつかんだスピースは、こう続けた。

「このまま同じプレーが続けられれば、きっと来年はいい1年になる」

 次戦は、2年前と同じくウッズが主催するヒーロー・ワールド・チャレンジ(12月1日〜4日/バハマ)に出場する。2017年、再びスピースの快進撃が見られるのか、今から楽しみでならない。

text by Reiko Takekawa/PGA TOUR JAPANå