主演の阿部寛から芝居について学んだことを語った大島優子
 - 写真:金井尭子

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 危険な違法生物兵器をめぐる捜索劇を描いた東野圭吾の同名ベストセラー小説を、NHKのコント番組「サラリーマンNEO」などの演出家でもある吉田照幸監督がユーモアたっぷりに仕上げた異色のサスペンス映画『疾風ロンド』に出演した大島優子が、主演の阿部寛から学んだ芝居について語った。

 共演作はあるものの、芝居での本格的な共演は初めてだという阿部と大島。大島は大先輩である阿部の撮影現場での様子を観察し、「阿部さんはどんなお芝居をしようかと、ずっと追求されているんです。例えばバッグを持つという動き一つにしても、持ち方をいろいろと試してみたり、現場ですごく練っていらして」という印象を持ったという。

 また、大島は今回の作品について、台本と完成品の違いにいい意味で驚いたそうだが、それは出演者のみんなが芝居で遊んで台本を膨らませていたためでもあった。しかし大島自身は「わたしはお芝居で遊ぶということが全然わからなかったんです」とも告白。

 「この芝居をこう膨らませたら面白いのではといった発想が、自分からはまだ考えられない」という大島は、「芝居で遊ぶということを実践してやっていらっしゃる阿部さんを目の当たりにして、先輩すごいなと。『あ、そうやって遊ぶんだ』というノウハウを、間近で見させていただいたような感じでした」と阿部の姿はとても参考になったという。

 ただ、大島自身はまだそのノウハウを実践できるまでには至っていないそうだが、後輩から参考にされていることを阿部に告げると、「やっぱり興味ある俳優さんのことは観察してしまいますよね」と自身も同じように先輩から学んできたことを明かす。阿部は「僕も昔、大先輩の大滝秀治さんと共演させていただいた時、撮影準備中のセットの中で、スタッフからどいてくださいと言われてもその場から離れずに、『これがいいかなあ』とか、ずっと悩んでいる姿に感動した」との実例を挙げた。作品の大小にかかわらず「これほどのベテランの方でも、こんなに考えてやってらっしゃる方がいるんだな」と感じたことが、大島が「阿部さんが黙々と一人で考えている姿をたくさん見ました」という、撮影現場での阿部の真摯(しんし)な姿勢にも大きく影響していることがわかる。

 AKB48を卒業後、女優として順調にキャリアを重ねてきた大島だが、「以前は役に入り込もうと思い過ぎて、自分自身が消えている瞬間や、撮影が終わったあと虚無感に襲われていたりした」そうで、最近になってようやく「自分自身と別の誰かを演じることの切り替えができるようになってきたんです」と語る。経験を積み、少し周りが見られるようになった今、尊敬できる先輩・阿部の姿を目にしたことは、大島の女優人生において大きな収穫となったようだ。(取材・文:天本伸一郎)

映画『疾風ロンド』は全国公開中