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 50人以上の事業所に義務づけられているストレスチェックの実施の期限が、11月末に迫っている。

「必ず11月末までに実施してください」と、人事部から、急な実施指示を受けた人も少なくないに違いない。それも、「必ず業務時間内に実施してください!」という文言が添えられているケースも多い。こうした案内が、ストレスを生んでしまうことに、案内発信部門は気づいていないか、気づいていても配慮していないのだ。

 このように申し上げると、「実施義務があるのだから、何が悪い」、「ストレスをためないために業務時間内に実施するよう指示しているのだ」……という反応が返ってくる。問題は、社員に強制すること自体が、社員のストレスを増幅していることなのだが、案内発信者は、この点に全く配慮していないのだ。

 実は、実施義務があるのは、事業所に対してだ。事業所の社員に対してではない。実施したくない、あるいは実施できない社員に対して、事業所は、それを強いることができない。しかし、実施義務が社員に転嫁されて、強制されている例が実に多い。それも期限間際になって、あわてて案内が出されるという始末だ。

 そして、「必ず時間内に実施してください」という注意書きが付されていて、時間内に実施することを強制している。時間内に実施することが悪いと言っているわけではないし、推奨されることも事実だが、それを強制すること自体が、社員のストレスを増幅するのだ。

◆背景や利点を説けばストレスは軽減される

「会社とは、組織とはそういうものだろう。強制することで管理・統率をしているから、大人数をまとめることができるのだ」……。このような意見も事実、聞こえてきた。管理の必要性の側面があることも否定しない。しかし、私は、明示的か非明示的かは別として、管理が行き過ぎて、強制することが蔓延ってしまっていることが、ストレスを増幅しているように思えてならない。

 ストレスチェックの案内発信部門は、一生懸命、職務に忠実に、この案内を発信しようとして、実施義務を社員に課すように受け取られてしまい、業務時間内に実施することを強制しているような案内を出してしまった。同じ内容の案内を出すにしても、強制しているように受け取られない文章にすればよかったのだ。

「必ず11月までに実施してください」と書くかわりに、「ストレス状況を、他ならぬ自分自身で確認するよい機会だと思いますので、是非、ご利用ください」「事業所に課されている実施期限は11月末です。担当者である私の対応が遅れて、間際の案内になってしまいましたが、ご無理ない範囲で実施していただければ幸いです」という文章にすれば、まだ、ストレスを与えるリスクは軽減されるのではないか。

 強制するのではなく、事実、社員に対して義務が課されることではないので、社員にとっての利点を説けば良い。それも、ストレスチェックは、社員自身がストレス度を自覚するという、強制することとは真逆の意図をもっているので、その点にハイライトすれば、むしろストレスを増幅させない。わけもわからず強要されることが、一番、ストレスを生む原因になるので、なぜ、11月末に急に案内することになってしまったか、背景を正直に書くことが、社員のためだ。

◆締切3か月前から毎週督促する異常事態

 ストレスチェックの例に限らず、受取人にストレスを与えてしまう案内や指示は、実に多い。

 筆者は、身に付けるべきスキルをパーツ分解して、パーツスキルを反復演習して着実に体得する「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」を年間100社に対して実施しているが、急増する依頼に応えて、ストレス解消プログラムも実施している。その中で挙げられて、参加者が最もストレスを感ずるものとして選ばれたのが、次のすさまじい事例だ。