北朝鮮が最近、鳴りを潜めている。トランプ米次期政権の北朝鮮政策を注視する一方、疑惑に揺れる朴槿恵政権の延命に手を貸しかねない韓国挑発を避けているとみられる。

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2016年11月26日、今年になって核実験やミサイル発射を繰り返してきた北朝鮮が最近、鳴りを潜めている。トランプ米次期大統領がどんな北朝鮮政策を打ち出すのかを注視する一方、国政介入疑惑に揺れる朴槿恵政権の延命に手を貸しかねない韓国挑発を控えているとみられる。

北朝鮮に関するトランプ氏の言動は振幅が大きい。例によって選挙期間中と当選後の発言は一変する。今年1月、北朝鮮が「水爆実験」と主張する核実験を行った直後には「この頭のおかしいやつ(金正恩党委員長)が、これ以上、核でいたずらができないようにしなければならない」とし、「もう終わらせなくてはならない」と主張した。

6月には、金正恩氏が訪米するなら、これを「受け入れる」「公式夕食会はやらない。会議用テーブルでハンバーガーを食べればいい」などと発言。「私が行くわけではない」と訪朝は否定し、「核開発をしないように説得できる可能性が10%か20%はある」と言及した。

当選後の11月10日には韓国の朴大統領との電話会談で、朴大統領が「今後も共同の利益のため、多様な分野で同盟関係を強化、発展させていくことを期待する」と述べると、トランプ氏は「100%同意する」と答えたという。北朝鮮に対抗して日本や韓国の核武装を事実上容認する過去の発言についても「言っていない」と軌道修正した。

これに対し、日本で北朝鮮の立場を代弁する朝鮮総連の機関誌・朝鮮新報は「『トランプショック』がない国」との記事を掲載。「誰が大統領になろうと米国と敵対関係にあることに変わりがないというのが、これまでの朝鮮政府の立場だ。米帝の強権と傲慢(ごうまん)の実態を知りぬく政府は、その国の大統領選の結果に一喜一憂することはない」と平静を装っている。韓国メディアによると、米大統領選の投票日前後には、中距離弾道ミサイル「ムスダン」を発射する動きも見せたが、結局中止。まずは様子見のようだ。

一方、崖っぷちの朴大統領について、北朝鮮の朝鮮中央放送は「南朝鮮全域で悪女朴槿恵逆徒を権力の座から引きずり降ろすため汎国民闘争が展開された」などと詳しく報道。退陣を求める集会には、旅客船セウォル号沈没事故の犠牲者遺族や米国の「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備に反対する団体などが参加したなどとも伝えている。

しかし、北朝鮮は38度線などで韓国への軍事的な挑発は慎重に避けている。このまま推移すれば、韓国の次期大統領選では野党系が勝利する公算が大。その場合は金大中、盧武鉉両政権のような北朝鮮に融和的な政権になる可能性もある。朴政権や保守系勢力の求心力を高めかねない行動は、控えるのが得策との配慮が働いているとみられる。(編集/日向)