インタビューに応じた
阿部寛と大島優子

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 原作はベストセラーとなった東野圭吾のサスペンス、主演は阿部寛とくれば「新参者」をはじめとする加賀恭一郎シリーズのような作風がイメージしやすい。否。NHK「サラリーマンNEO」を手掛けた吉田照幸監督の演出によってが然、コメディの色合いが濃くなった。大島優子、関ジャニ∞の大倉忠義も途中まで気づかなかったほど、自然な流れで笑いの要素が絶妙にちりばめられている。「疾風ロンド」は、サスペンスとコメディを大胆に融合させた希有(けう)な快作となった。

 装いはサスペンスである。医科学研究所から違法な生物兵器が盗まれ3億円を要求する脅迫メールが届くが、犯人が事故で死亡。主任研究員の栗林(阿部)はその捜索を命じられ、数少ない手がかりから野沢温泉スキー場が隠し場所であることを突き止める。

 「脚本を読んで、これは雪上で滑走しているようなスピード感のある映画だと思ったんです。その中でドタバタしながらとにかくかき回していく役なので、まずはやってみて監督がどういう演出をしてくださるかというのを試しながらやっていましたね」

 栗林は慌てふためくばかりで、活躍の場がこれほど少ない主人公も珍しい。そんな時に頼りになるのが、スキー場のパトロール隊員の根津(大倉)とスノーボードクロス選手の千晶(大島)だ。事実を知るのは栗林ただ1人なだけに、当然会話はかみ合わない。そこにクスッとした笑いが生まれる。

 「そのかみ合わなさみたいなものが、回数を重ねていくことでかみ合っていることを発見したんです。ギャップというか、現場で2人のお芝居を見ながら温度差みたいなものを楽しんでやっていました。それであの感じができたと思うんですよ」

 加えて、大倉はスノーモービルを見事に駆り、そのままジャンプしながらのラリアットを放つ離れ業を見せる。それが決まった時の表情は、実にアイドル的だ。

 「カメラ横ギリギリを行かなければいけないカットがあって、1回も練習できなかったんですけれど、本番でスレッスレに行けた時には決まったと思いました。その時はもうカメラに映っていないので、すごい自己満足ですけれど。ラリアットのところは、あそこだけ監督に求められたんですよ。『ここはジャニーズ顔で』って(笑)」

 一方の大島は、9歳からスノーボードに興じていただけに「やっと来た。趣味が仕事になるって一番幸せ」と満足げな笑み。とりわけスキーのムロと並走しながらの格闘は、本人が「ジェダイのシーン」と称するほどの迫力とスピード感だ。

 「スローで撮りますって言われて予想はついていたんですけれど、カメラじゃなくて自分たちがスロー(で動いてくれということ)だったんです(笑)。台本からどんどん膨らんでいって、いろんなことを経験させてもらいました。でも、邦画では見たことのない映像だったから良かったです」

 阿部によれば、スノーボードが趣味の東野氏もそのシーンに太鼓判を押したそうで、「スピード感のあるスキーの映像は本当に素晴らしい。皆で作った演技の部分もすごく楽しめる。あっという間に見終わる、エンタテインメントとしていいものができたと思っている」と作品には絶対の自信を見せる。日本映画の新たな可能性の扉を開くか、期待は高まるばかりだ。