コニャックの王「ルイ13世」x西陣織の老舗「細尾」 響き合うクラフトマンシップ

写真拡大

コニャックの王「ルイ13世」の5代目セラーマスター、バティスト・ロワゾーと京都・西陣織の老舗「細尾」の12代目、細尾真孝。伝統を受け継ぐ職務にあるふたりが共鳴した、普遍的価値とは―。

細尾真孝(以下、細尾):本日は私たちのショールームまでお越しいただき、ありがとうございます。この西陣という地域では、1,200年前より天皇や貴族、将軍家へ献上されるお誂え物として、先染めの織物が育まれてきました。弊社は1688年に大寺院御用達の織屋として創業し、ここを中心に約7km圏内で家業を営む職人たちと約20の工程を分担して西陣織を生産しています。

バティスト・ロワゾー(以下、ロワゾー):このような日本の伝統を感じられる場所で、同じようにフランスのクラフトマンシップを表現している「ルイ13世」をご紹介できることをうれしく思います。西陣織と同じように、コニャックも、コニャック地方でつくられたものしか、その名を冠することはできません。

その中でも最高級に位置するのが「ルイ13世」です。コニャック地方の6つの区画の中で最上級の畑とされるグランド・シャンパーニュで収穫されたブドウをさらに厳選した、大変希少な原料を使っています。

セラーマスターとして私がブレンドする「ルイ13世」の1,200種類ものオー・ド・ヴィー(原酒)は、私ひとりでつくり上げたのではなく、先代、先々代のセラーマスターが仕込んで、100年という時間をかけて熟成させたものです。ですから、「時」の概念と職人技を伝承していくことで、現在グラスに注がれている「ルイ13世」があると言えます。

細尾:まさにフランスの至宝ですね。西陣織にも1,200年間の積み重ねてきた伝統や技術があります。そのため、私たちの家業は預かりものという意識が強く、いかにこの伝統を継続させていくかということを第一に考えています。

ロワゾー:私も同感です。レミーマルタン社のゼネラルマネージャーがよくこういうことを言うのです。「ひとりで行くと非常に早く行けるけれど、みんなで行くとより遠くまで行ける」。セラーマスターからセラーマスターへと引き継いできたチームワークが、より遠くへ行く力となって伝統をつくり上げるのです。

そして同時に謙虚に自分が引き受けていることは、そのための通過点にすぎないということを踏まえながら、全身全霊で取り組みたいと思っています。

細尾:時間を縦軸とすると、横軸、つまり先ほど申し上げた約20の工程の職人たちとのつながりもあります。さらには、地域の生活文化も重要です。

例えば、お茶文化にお茶筒や陶器、お能の衣装に着物といったように、京都の場合には多彩な文化が密接にかかわるなかで、クラフトが生まれてきました。私たちが自分たちのクラフトをきちんと伝えるためには、まずはその背景にある文化を知っていただくことが大切です。京都に来て体験していただくことで、そのモノの価値を感じてもらえたらうれしいですね。

ロワゾー:「ルイ13世」の豊潤な香りにも、受け継がれてきた伝統、そして同時にコニャック地方の自然の恵みや人々の情熱が込められています。私はコニャック地方で生まれ育ったので、そのことがとてもよくわかっています。

もちろん、それだけですベて解決するわけではなく、自分がどれだけ情熱を注いでいるかも栽培者に見せていかなければなりません。そして、脈々と続けてきた蒸留者のノウハウに深いリスペクトを示さなければ、いまのような付き合いはできなかったと思います。

細尾:そうですね。自分たちだけでなく、産業自体、私たちで言えば、西陣織に関係するすべての人が生き生きと働けるような環境もつくっていかなければなりません。そのためには新たな挑戦が必要だと考え、7年前から西陣織の技術と素材を使ったテキスタイルを、海外のラグジュアリーマーケットへ向けて展開しています。