安倍首相の外交政策が“逆風”にさらされている。米国のTPP離脱やロシアとの北方領土返還交渉の難航に加え、年末の日中韓首脳会談の開催も不透明になってきた。

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2016年11月25日、安倍晋三首相の外交政策が“逆風”にさらされている。米国のトランプ次期大統領は選挙中の公約通り、環太平洋連携協定(TPP)からの離脱を改めて表明。北方領土の返還交渉に向けたロシアのプーチン大統領との会談でも暗雲が立ちこめた。年末の日中韓首脳会談の開催も危ぶまれている。

米国のTPP離脱は予想通りとはいえ、アベノミクスを支える成長戦略の柱と位置付けていただけに安倍首相にとって大きな打撃となった。米ニューヨークで外国首脳として初めてトランプ氏と直接会談。訪問先のアルゼンチンで21日(現地時間)、「米国抜きのTPPでは意味がない」と語った直後、同氏の離脱表明がネット上に流れた。

安倍首相は24日の参院TPP特別委員会で、民進党の蓮舫代表から「日本が批准したらトランプ氏は翻意するか」と問われると、「そういう確信はない」と答弁。「日本の国会でTPPの意義を示さない限り、次期米政権が『もう少し考えてみよう』ということは起こり得ない。日本が意思を示すことで初めてその可能性が出てくる」などと苦しい説明に終始した。

アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせ、19日にペルー・リマで行われた日ロ首脳会談は、北方領土交渉の進展に向け「詰め」の協議と位置付けられた。安倍首相はロシアが期待する経済協力プランの着実な実施を約束すると同時に、領土問題で踏み込んだ提案を行った。しかし、プーチン大統領の反応は芳しくなかったとされ、日本メディアによると、首相同行筋は「首相は『やっぱり領土問題は厳しい』と実感したようだ」と明かした。

安倍首相は当初、年末の日ロ首脳会談で北方4島返還に道筋をつけ、それを成果に衆院解散に打って出る戦略すら描いていたとされる。会談では領土問題よりも経済協力を優先するロシアと日本との立場の隔たりがより明確になった形で、日本メディアは政府関係者の「12月15日(山口県で開かれる日ロ首脳会談)はゴールではなくスタート。今後の方向性を確認できれば十分だ」との声を伝えている。

日本がホスト国になり、年末に東京で開催が予定されている日中韓3カ国の首脳会談が実現するかどうかも不透明だ。

国政介入疑惑で野党に弾劾決議案を突き付けられている朴槿恵大統領について、韓国政府は「出席する」としているものの、実際に出席できるかは予測困難。日本メディアによると、リマで10分間行われた習近平・中国国家主席との会談で、安倍首相は首脳会談開催に触れ、李克強首相の出席を提案したが、習主席はこれに答えなかったという。

政治家は自分が最も得意だと思っている分野でつまずくといわれる。このところ、朴大統領との比較で安倍首相をしきりに持ち上げてきた韓国メディアも、リマでの一連の首脳会談について「成果を得ることができなかった」として、「プーチン氏とのロ日会談も不振」「習近平中国主席も冷ややかな反応」などと伝えている。(編集/日向)