日銀は金融緩和を継続する方針を強く打ち出している。その一方で、金融緩和の効果を実感している企業は12.9%にとどまった。

 日銀は9月20日と21日に開催した金融政策決定会合で、これまでの金融政策を総括的に検証し、金融緩和強化のための新しい枠組み「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を決定した。主な内容は、長短金利の操作を行う「イールドカーブ・コントロール」と、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%の「物価安定の目標」を超えるまで、マネタリーベースの拡大を継続する「オーバーシュート型コミットメント」だ。

 イールドカーブ・コントロールは、金融市場で長期金利と短期金利を操作する政策のこと。長期金利の目安となる10年物国債の金利がゼロ%程度で推移するように、長期国債の買い入れを実施する。それと同時に、消費者物価上昇率の実績値が安定的に2%を超える(オーバーシュートする)まで、マネタリーベースの拡大方針を継続すると強く公約(コミットメント)した。これにより市場に安心感を与え、同時に政策の時間軸を広げてデフレマインドの改善に取り組む姿勢を強く示した。

 そんな中、帝国データバンクは全国の企業2万3,779社を対象に、金融緩和政策に対する企業の意識調査を実施し、その結果を11月15日に発表した。調査期間は10月18日から31日で、1万243社から有効回答を得た。

 2013年4月から継続的に実施している日銀の金融緩和政策について、その効果を実感できるか聞いたところ、59.7%の企業が「実感はない」と回答し、「実感がある」の12.9%を大きく上回った。「分からない」は27.9%だった。金融緩和政策の効果について「実感がある」と回答した企業を業界別にみると、「金融」が24.8%で最も高く、以下、「不動産」の22.0%、「運輸・倉庫」の14.1%、「製造」の14.0%が続いた。

 企業から寄せられたコメントをみると、「不動産」からは、「マイナス金利で住宅ローン金利が低下したことに加え、金融機関が比較的リスクが少ない不動産に関連する融資に積極的に取り組んでいる」(貸事務所)、「自社の事業資金融資や、顧客が不動産購入時に組む各種ローンが通りやすい」(不動産管理)などがあり、金融緩和で多くの恩恵を受けていた。一方、「金融」からは、「貸出金の利率が他の金融機関との競合により大幅に低下している」(信用金庫・同連合会)、「資金運用が非常に困難になった」(損害保険)などがあり、金利低下によるマイナス効果を指摘していた。

 日銀による金融緩和の影響を受けたと実感する企業は一部にとどまっているが、恩恵だけでなくマイナス効果も少なくないようだ。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]