農業は就業人口の減少や高齢化などの課題を抱えている。解決策として期待されるスマート農業は、これから大きく成長しそうだ。

 農林水産省の発表によると、平成28年2月の農業就業人口は192万2,000人(概数値)で、前年より17万5,000人減少、平成22年と比較すると68万4,000人減少した。農業就業人口とは、15歳以上の農家世帯員のうち、過去1年間に農業のみに従事した人と、兼業の場合には農業の従事日数の方が多い人を合計した人数のこと。

 農業就業人口のうち、65歳以上の人は125万4,000人で、全体の65.2%を占めた。同割合の過去の推移をみると、平成27年が63.5%、平成22年が61.6%だった。また、平成28年の農業就業人口の平均年齢は公表されていないが、平成27年は66.4歳、平成22年は65.8歳だった。農業が就業人口の減少と、高齢化という課題を抱えている様子がわかる。

 農業就業人口の減少と高齢化が進む中、ロボット技術やICTの活用で効率化や高い安全性を実現する「スマート農業」に注目が集まっている。そこで矢野経済研究所は、国内におけるスマート農業に関する調査を実施し、その結果を11月14日に発表した。調査はスマート農業参入事業者や関連団体などを対象に、7月から9月にかけて実施された。

 発表によると、2015年度のスマート農業の国内市場規模は97億2,400万円で、2016年度には110億4,800万円、2022年度には331億8,600万円まで拡大すると予測している。同市場は、2017年度頃まで栽培支援ソリューションが中心になって拡大。2018年度以降は販売支援ソリューションや経営支援ソリューションも成長し、市場は拡大を続けるとみられている。また、農機の有人機と無人機による協調作業システムや、無人運転を実現するシステムも普及し、成長に寄与すると予想している。

 その一方で、農業は他業種に比べて設備導入やデータのストックに時間がかかるほか、スマート農業の必要性を感じていない生産者が多い、零細な生産者が多いため大きな設備投資が難しいなどの課題がある。そのため、メーカーが新規の製品開発を行っても、導入が進みにくいと同社は指摘している。

 農業はさまざまな課題を抱えているだけに、スマート農業に寄せる期待は大きい。今後のスマート農業導入促進に向けた取り組みに注目が集まる。

サイトウ イサム[著]、加藤 秀行[著]