リティ・パン監督

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 第17回東京フィルメックスの特別招待作品「エグジール」が11月26日、東京・有楽町朝日ホールで上映され、リティ・パン監督がティーチインを行った。

 パン監督を投影したような少年の生活を、時にリアリスティックに、時に幻想的に描き出す。クメールルージュ時代の様々な映像やスローガンなども引用し、過去作とは異なる詩的なアプローチで母国が被った歴史的悲劇を映す。

 「個人的な作品で、小さなオブジェがクメールルージュの記憶を想起させます。何より言いたいのは、詩や詩情よいうものは全体主義や野蛮な行為に勝利するということを描きたかった」と本作のテーマを説明する。

 パン監督は1979年にフランスに亡命した。「クメールルージュの政権下、私は子供でしたが、誰に教わったのでもなく“生存しなければ”という思いが強くありました。そこでは、記憶や思い出にしがみつくことが必要で、子供時代に父親が読んでくれた詩を思い出していました」と振り返る。流刑、亡命を意味するタイトルに触れ、現在の移民、難民問題にも共通することだと指摘し「生まれた地から切り離され、どこにいても、どこにもいないような状況」だと自身の体験を語った。

 戦争や虐殺など悲惨な経験をした人々にとって、その体験を自分の言葉で語ることは難しいといい「自分自身を再構築、和解するために他人の言葉で描かれた詩が必要でした。日本では、広島(原爆投下)の後に大江健三郎さんが素晴らしい仕事をされました」と記憶と言葉の重要性を説いた。

 第17回東京フィルメックスは、11月27日まで東京・有楽町朝日ホールほかで開催。