湾岸地域の航空市場に変化、空港・航空会社が苦戦

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活況を呈してきた湾岸諸国の航空分野がピークを越え、減速し始めたことを示す兆候が見え始めた。同地域のハブ空港3か所のうちの一つ、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ国際空港が、10月の旅客数が減少したことを明らかにした。

UAEのアブダビ首長国にあり、エティハド航空の本拠地でもあるアブダビ国際空港の10月の利用客数は約190万人となり、前年同月の約192万人から約1%減少した。減少幅はわずかなものに思えるが、同空港ではこの間、航空機の離着陸回数が1.3%以上増加しており、この点を考慮すれば、軽視できない数字だといえる。

また、今年1〜10月のアブダビ国際空港の利用客数は前年同期比5.4%増の2,040万人。ここ数年の同空港の成長と比較すると、今年は最も伸びが鈍化した一年だった。利用客数は2010〜15年、前年比2桁台の増加を続けていた。

中東全体が苦戦

中東地域の航空市場は、近年にない困難な時期を迎えているといえそうだ。域内最大のエミレーツ航空も11月上旬、今年9月末までの6か月間で利益が前年同期比75%減少したと発表している。

湾岸諸国の航空会社は、中東の政治不安による需要の減少と原油価格の下落で痛手を負っている。また、欧州をはじめとする国際主要市場の一部に成長の鈍化がみられることの影響もある。

さらに、米国でドナルド・トランプが次期大統領に選ばれたことも、湾岸の各国にとっては状況の悪化を意味するかもしれない。米国市場へのアクセスに絡んで同国の航空各社と激しい競争を繰り広げてきた湾岸諸国の大手航空会社は今後、新大統領の就任によってさらに困難な状況に置かれる可能性がある。

航空業界を専門とするコンサルタント会社のJLSコンサルティングは、「湾岸諸国の航空会社に対するトランプ新政権の出方を注視する必要があるだろう」と指摘している。

一方、湾岸地域の航空会社と争ってきたトルコ航空も、苦しい状況に置かれている。今年1〜9月には4億6,300万ドル(約526億8,500円)余りの減益を記録。トルコ経済の減速や治安状況の悪化を受けた取り締まりの強化に伴い、減便などの対応を強いられている。