北朝鮮では、過去10年間の自然災害による経済的損失が3億ドルを超え、死者の発生率も非常に高いことが明らかになった。米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)が報じた。

ベルギーのルーヴェン大学災害疫学研究所(CRED)が最近発表した「災害統計資料」によると、北朝鮮では2007年から今年までの間に、合計で16件の大規模な自然災害が発生している。最も多かったのが洪水で9件、次で台風の5件、干ばつの2件だ。

北朝鮮で起きた自然災害により発生した経済的損失は3億1140万ドル(約350億円)に達し、また、死者の数は1533人を記録した。これは同期間の韓国の死者281人の5倍を超える。

北朝鮮が自然災害に脆弱な原因について、専門家は「山林破壊によるものだ」と口を合わせて指摘する。その発端となったのは、金日成主席が提示した「全国土段々畑化計画」だ。

1974年6月、「穀物1000万トン高地を占領せよ」というキャンペーンが行われるが達成できなかった。金日成主席は咸鏡北道(ハムギョンブクト)を現地指導で訪れた。そして、山がちな村を見て「傾斜地の多いこの地では段々畑事業を力強く推進せよ」「山に転がっている石を積み重ねればいい」「手間をかけずに土地を整え、土が雨で流されなくなるのでいい」との指示を下した。

同じ年の10月に開催された労働党第5期12回全員会議では「自然改造五大方針」が提示され、段々畑の造成を大々的に進めることが謳われた。

ところが、深く根を張らないトウモロコシを植えてしまったため、雨がふるたびに土砂が流出。また、連作を続けたため、土地が痩せてしまった。不作となり、海は白化を起こし、ダムには大量の土砂が流れ込み、貯水量や発電量が低下した。

それが度重なる自然災害を発生させ、90年代末の大飢饉「苦難の行軍」へとつながっていく。人々は生き残るために、さらに山を切り開き、畑を作り、山の荒廃が更に進んだ。

金正恩党委員長はその問題に気づき、山に木を植える「全国森林化計画」を進めているが、農民から畑を奪って苗木を植える強引なやり方のせいで、激しい抵抗に遭っている。

また、防災インフラの不備も、自然災害の発生を増大する結果を招いている。