世界中で急速に広がる「仮想通貨」。欧米に一歩後れを取っていた日本も、いよいよ春先には「通貨」としての認定を与え、法整備を進めようとしています。でも、これを逆手に取った怪しい金融商品も登場しています。仮想通貨に関するおいしい話には要注意です。

今月の知りたがりテーマ いよいよ仮想通貨が普及へ

暗号を信用力の担保とし、国の信用力に依存しない、いわゆる「仮想通貨」が世界中で急速に広まっています。現時点では、1300万人以上が使っていると報道されています。これは度重なる金融危機から、世界中で既存通貨に対しての信頼が薄れている裏返しでもあります。仮想通貨で有名なのは「ビットコイン」や「ライトコイン」。

ちなみに、東京圏では約1000万人が活動しています。つまり、東京と同レベルの潜在的な商圏が、仮想通貨によって出来上がっているのです。

この秋には大きなニュースが流れました。財務省と金融庁が2017年春をメドに仮想通貨を支払い手段として位置づけ、政府が「通貨」としてのお墨付きを与えるというのです。その第1弾として、日本円から仮想通貨に交換する際は、消費税がかからないようにします。これまで仮想通貨は、「通貨」ではなく、「モノ」と認定されていたので消費税が必要でした。なお、ひと足早く欧米が通貨認定を行なっていたので、諸外国に後れを取らないように日本政府も行動したのでしょう。

でも、私はそれだけではないとみています。仮想通貨の使用目的は、匿名保有が可能なことから9割が投機や資産回避といわれています。仮想通貨に関しての法整備を整えないと、相続や送金において脱税など脱法先として利用される可能性があります。

つまり、今回のニュースは仮想通貨の法整備を急速に進めるための布石ではないかとみています。次の焦点は、仮想通貨に関する相続税の整備ではないでしょうか。

値動きが荒く、現状では私設取引所でしか交換できない仮想通貨ですが、どのタイミングの価格を相続税対象の資産価格にするかなど、さまざまな議論が出てくるはずです。

そして、法整備が未成熟なだけに、仮想通貨に関する怪しい金融商品も存在していますので、注意してください。

Masumi Sai 崔 真淑 Good News and Companies代表

神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。入社1年未満で、当時最年少女性アナリストとしてNHKなど主要メディアで株式解説者に抜擢される。債券トレーダーを経験後、2012年に独立。現在は、日経CNBC経済解説部のコメンテーターとしても活躍している。