<大統領選の選挙運動中、イランとの核合意を破棄または見直すと公言していたトランプ。合意体制の崩壊は、中東地域を不安定にするだけでなく、米イラン関係の長期的な悪化につながりかねない>

 多くのアメリカ人がドナルド・トランプ次期大統領の言動を不安と共に注視している。選挙運動中に掲げた公約を実行に移すのか、それとも幾つかの公約は撤回するのか――。その大きな懸念の1つが、イランとの核合意だ。

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 大統領選の選挙運動中、トランプはオバマ政権が成果として誇るイランとのこの核合意を「これまでの対外交渉の中で最低の合意」だと非難。合意を再交渉するかまたは破棄すると公言していた。これに応じてイランの最高指導者ハメネイ師は、合意どおりに経済制裁を解除しないなら「報復する」と語った。

 トランプ新政権の動向は、将来のアメリカとイランの二国間関係を長期的に揺るがす危険がある。

イランがアメリカを見限ったら

「広い意味で捉えれば、合意を遵守しないことによるリスクは、イラン政府がアメリカとの関係維持に興味を失うことにある」と、ニューヨークで弁護士として働くイラン系アメリカ人のティナ・フォスターは言う。「もしトランプ新政権が合意から180度方向転換すると、中東情勢や米イラン関係は非常に不安定になる」

 核合意はイランの他、アメリカを始めイギリス、フランス、ドイツなど6カ国が署名し、国連の安全保障理事会でも承認されている。仮にアメリカが単独で合意を破棄して経済制裁を科しても、その効果は強くない。また核合意が崩壊すれば、イランが核開発を再開してイスラエルやサウジアラビアが怒り出すなど中東地域が再び不安定となる可能性もある。

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 一方でトランプは湾岸諸国にとっての「新鮮な空気」、と好意的に受け止める反応もある。中東地域の協力機構「湾岸協力会議(GCC)」は、イランとの核合意を進めたオバマ政権は中東地域に混乱をもたらしただけだ、という見解を示した。しかも合意の見直しや撤回は、イランよりもアメリカにとってのダメージが大きいという。

「イランの経済力は大きいので、アメリカが失う利益は大きい。現時点ではヨーロッパもカナダもイランとの貿易にはオープンだが、アメリカだけが仲間はずれだ」と、イラン系アメリカ人の経営者は言う。

ヤサマン・ホルサンディ