来場中の西島秀俊に気付き一礼した
アミール・ナデリ監督

写真拡大

 イランのアミール・ナデリ監督の最新作「山〈モンテ〉」が11月24日、東京・有楽町朝日ホールで開催中の第17回東京フィルメックスの特別招待作品として上映され、ナデリ監督と主演のアンドレア・サルトレッティがティーチインを行った。上映前、舞台挨拶に立ったナデリ監督は、「5年ぶりの来日。日本が本当に大好きです」と話した後、「CUT」(2011)で起用した西島秀俊が来場していることに気づき「西島さんにこの作品を捧げます」と一礼。西島も満面の笑みで立ち上がり、監督の粋な計らいに謝意を示した。

 全編イタリアで撮影された同作は、何かに取りつかれたかのようにひとつの行動を続けるというナデリ作品に共通する設定を、極限まで追求した異色のドラマ。中世末期を舞台に、山の麓の村で妻子と暮らす男が、自らの過酷な生活の原因となっている巨大の山に“挑戦”する様子を描く。

 「15年前から物語が頭の中にあった。日本や韓国、アメリカなど、多くのロケ地を巡ったが、作品のイメージと合う場所がなかったんだ」と明かすナデリ監督。「イタリアを訪れた時、ある山を見て周囲の音を聞いたら撮影地はここにしかないと思った。映画づくりにおいて、サウンドデザインと編集作業が私に最も興味を抱かせるもの。ワーグナーのオペラのような音を常に追い求めているんだ」と独自の映画術を語りつつ「実はサウンドデザインや編集作業は、密かに来日して西荻窪に借りた部屋で仕上げたものなんだよ」と裏話も暴露していた。

 サルトレッティが「本当にハードな仕事だったが、ナデリ監督は“生”のパワーが溢れている人物。素晴らしいギフトを沢山貰えましたよ」と撮影の日々を述懐すると、ナデリ監督は「自分はゴールを設定すると無理なことも全てやってしまいたくなるんだ。自分と組んだ人は無理を承知でやらなければならないんだよ」と語った。

 また「不可能なものを可能にする」という要素が自作の共通要素だと語るナデリ監督は、「今までは海、風、砂、炎、そして今回は山というモチーフを使用した。次回作は大変だよ。月に行こうと思っているからね!」と冗談交じりに話しつつ「また日本で映画をつくるかもしれませんね」と観客の期待をあおった。

 第17回東京フィルメックスは11月27日まで開催。