「旅行」に行けば、現地の名物料理を味わうというのが一番の楽しみ。料理にはまた、人々の思いや文化などが詰まっているものだ。

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「旅行」に行けば、現地の名物料理を味わうというのが一番の楽しみ。料理にはまた、人々の思いや文化などが詰まっているものだ。中国語でコラムを書き、著作を出版している日本のジャーナリスト・新井一二三(本名:林ひふみ)さんは、日本の家庭料理の背後にある「ドラマ」を「東京時味記」という「味のある本」にまとめた。この本は、「中国から日本へ伝わった食べ物には『唐』が付くのか?」、「日本で『餃子』が『GYOZA』と発音されるようになったのはなぜか?」などの興味深い質問に答えている。(文:徐敏。旅済南時報掲載)

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■新たな美しい世界へ連れて行ってくれる食べ物
おいしい物が好きな人ならば、必ず心から生活を愛し、真面目に生活を営んでいるといえる。新井さんも子供の頃からそのようなタイプだった。彼女は「東京時味記」の中で、「子供の頃は、透明人間になって、他の人の家に行ってどんなものを食べているのかを見てみたいというのが夢だった。1日3食何を食べているかだけでなく、各家庭の食習慣を通して、その家族の歴史や故郷の思い出などの『ドラマ』を、自分の目で見てみたかった」と書いている。

もちろん、透明人間になるという夢はかなわなかったものの、新井さんの「食」という生活スタイルに対する思いは高ぶるばかりだった。中学生の時、新井さんは作家・森村桂の影響を受けるようになった。森村桂は、エッセイの中で、ずっとほしかったオーブンをついに手に入れ、そのオーブンで焼いたバナナケーキがどれほどおいしかったかを書き綴っている。それを読み、新井さんは、「この作家にとって、バナナケーキは単なる食べ物ではなく、これまで知らなかった美しい世界に連れて行ってくれるもの」と感じた。その後、新井さんは海外に留学し、いつも日本の食べ物が恋しかったという。「単に食べ物が恋しかったのではなく、それにまつわる人や思い出が恋しかった。それはつまり『ドラマ』」と新井さん。

■日本語の「餃子」の発音は山東省なまり!?
新井さんは中国の食べ物が大好きで、「東京時味記」の中でも、代表的な中華料理の日本での作り方をたくさん紹介している。そのうちの一つに「餃子」がある。

日本語で「餃子」は「GYOZA」と発音する。「東京時味記」の「GYOZA」の項目で、新井さんは、「20世紀中ごろに中国から日本に餃子が伝わり、その時から『GYOZA』と呼ばれている。19世紀後半から、20世紀前半にかけ山東半島に棲む中国人の遼東以北への民族移動が行われたことを背景に、中国の東北地方には、山東省出身の人が多く、日本人がよく耳にする中国語も山東省のイントネーションの中国語が多い。しかし、ほとんどの日本人はそんなことを全く知らず、『餃子』という漢字は『GYOZA』と発音するものと思ってしまった。つまり、1億3000万人の日本人が知らない間に山東省なまりの中国語を覚えてしまったのだ」と紹介している。

■「唐揚げ」は中華料理?
中国人が「唐揚げ」という言葉を見ると、中国語にはない言葉であるため、とても不思議に感じる。新井さんの11歳の娘は、「唐揚げ」という言葉を見て、「唐揚げって中華料理なの?」と質問したという。

日本において「唐揚げ」とは、から揚げ粉をまぶして油で揚げた料理のこと。例えば、「鶏の唐揚げ」とは、中国では「炸鶏」と呼ばれている。「鶏の唐揚げ」と聞いて、「中華料理」が連想されるのは、「唐」という漢字が中国を表していることに関係しているからだろう。例えば、中国語でチャイナスーツは「唐装」と呼ばれ、華人が多く住む中華街は「唐人街」と呼ばれている。

「唐」という漢字が含まれている日本の食べ物は「唐揚げ」だけではない。他に、外国から渡来した「唐辛子(トウガラシ)」、「唐茄子(かぼちゃ)」、「唐黍(トウモロコシ)」、「唐芋(サツマイモ)」などにも「唐」が含まれている。このように見ると、日本語における「唐」は、中国語の「胡」や「番」に相当するように思われる。例えば、その漢字を使う食べ物である「胡椒(こしょう)」、「胡羅卜(ニンジン)」、「胡瓜(キュウリ)」、「番椒(トウガラシ)」、「番茄(トマト)」、「番木瓜(パパイア)」などは、外国、または他の民族から伝わったものだ。

「鶏の唐揚げ」に話を戻すと、「日本唐揚協会」の公式サイトでは、その始まりについて、「江戸時代初期に中国から伝来した普茶料理。しかし、普茶料理でいう唐揚げは現在の唐揚げとは違うもので、『唐揚げ』とは、豆腐を小さく切り、油で揚げ、さらに醤油と酒で煮たもの」と紹介している。では、「唐揚げ」は中華料理なのだろうか?その質問に答えるのは至難の業のようだ。(提供/人民網日本語版・編集KN)