25年も国連職員を務めた川端清隆福岡女学院大学教授が講演し、「日本では国益のために国連を使うという発想が乏しい」と批判。日本(外務省)の国連中心主義はお飾りで、本音は「国益よりも対米協調一辺倒」と批判した。

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2016年11月24日、国連職員として25年間、安保理運営や地域紛争調停に関わった川端清隆福岡女学院大学教授がこのほど「国連と日本人」と題して日本記者クラブで講演。「日本では国益のために国連を使うという発想が乏しい」と批判した。「日本人ほど国連が好きで、日本人ほど国連を知らない国民はいない」と指摘した上で、「日本(外務省)の国連中心主義はお飾りで、本音は国益よりも対米協調一辺倒」と断じた。

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川端清隆氏は、時事通信記者を経て、1988年に国連本部政治局政務官に就任。13年まで国連職員として勤務。その間、国連本部の安全保障理事会や、PKO、安保理改組、ルワンダPKO、アフガニスタン和平交渉、イラク問題など一貫して、世界の平和と安全保障の問題に心血を注いだ。発言要旨は次の通り。

国連事務総長と日本の外務大臣との会談の場に同席し、日本が国連に何のメッセージも発しないことに驚き、国連を世界政府や世界連邦のような存在だと見ているのではないかと疑問を抱いた。日本は何をしたいのか、してもらいたいのかの主張がない。

国連のような多国間外交の利点は2国間関係に縛られず、国際社会の前で正論や原則論を堂々と主張できることだ。これにより国際世論を形成して自国の国益に沿う国際秩序を構築することが可能となる。一国だけで行うよりはるかに効率的だ。「法の支配」「力による現状変更の禁止」が国連のキーワードであり、北方領土、竹島、尖閣諸島、ウクライナ問題、チベット問題、台湾、南シナ海その他に適用される。

2012年9月、尖閣諸島を巡り日中間の軋れきが高まった際に、野田首相(当時)は67回国連総会で「自らの主義主張を一方的な力や威嚇で実現しようとする試みは、国連憲章の基本的な精神に合致せず、人類の叡智に反するもので決して受け入れられない国際法にもとずく平和的な解決を図っていく」と演説した。

国連憲章7章42項は「安全保障理事会は第41条に定める措置では不充分であろうと認め、または不充分であることが判明したと認めるときには、国際の平和及び安全の維持又は回復に必要な空軍、海軍または陸軍の行動を取ることができる」と謳っている。これは力による平和=牙を持たず、日独の侵略に対抗できなかった国際連盟の教訓に基づくものだ。

第2次大戦戦勝国の米英仏露中5カ国で構成される国連常任理事国は政治的背景があり組み換えは困難である。日本政府は国連日本人職員の戦略的意味を理解していない。日本ではPKO(国連平和維持軍)と自衛権が混同されているが、国連PKOにとって高練度の自衛隊はぜひ必要とされている。ただPKOは国連憲章に書かれていない。

日本では国益のために国連を使うという発想が乏しい。2国間主義外交が主流となっており、同じ「平和」という言葉を使っていても、日本と国連本部では意思疎通が難しい。多国間主義の進展のために日本は何ができるのかという視点がもっと必要だ。日本人ほど国連が好きで、日本人ほど国連を知らない国民はいない。日本(外務省)の国連中心主義はお飾りで、本音は対米協調一辺倒である。

日本は敗戦国で加盟が遅れたのでいいポストは既に他国に取られていたとされるが、本当にそうか。敗戦国のドイツ、イタリアは目いっぱい人を入れている。最近冷戦が終わるまでは中国熱心ではなかったが、私が辞める時期には80人も入ってきた。拠出額から見たら多すぎるくらいだ。

何故国連に日本人が少ないか、何が欠けているかを議論すべきだ。PK0、枠外の人道支援開発支援を含むすべての面で日本人少ないのは事実であり、ここから議論を始めるべきである。救いがあるのは女子学生。むしろ海外に出たい。国際ビジネスNGO、ボランティア活動など一度海外で働きたいという人が必ずいる。いい傾向だと思う。(八牧浩行)