遠藤周作の歴史小説「沈黙」は、江戸時代初期にキリシタン弾圧が行われた日本におけるポルトガル人司祭の生き様を描いた小説です。イギリスのガーディアン紙が選ぶ「死ぬまでに読むべき必読小説1000冊」に選ばれ、国内外から高い評価を集める同小説を、「タクシードライバー」や「グッドフェローズ」で知られるマーティン・スコセッシ監督が映画化し、その予告編が公開されました。アンドリュー・ガーフィールド、リーアム・ニーソン、アダム・ドライバーといったハリウッド俳優だけでなく、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、塚本晋也、小松菜奈、加瀬亮、笈田ヨシらが日本から出演しています。

Silence Official Trailer (2016) - Paramount Pictures - YouTube

「主はおっしゃった……『世界に出て全てのモノに教えを授けろ』と」



舞台は日本の長崎。



「日本にいたフェレイラが棄教したという報せが届いた」



「フェレイラは弾圧に屈し神を非難し信念を曲げたのだ」



突然の報告に信じられないといった様子のフランシス・ガルペ(アダム・ドライバー)とロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)。



「あり得ないことです。フェレイラは日本に教えを授けるために命をかけていた」



「緊急を要します。何とかしてフェレイラを助け出さないといけない」



2人が向かったのは島原の乱が収束して間もない頃の日本。



日本ではキリスト教徒に対する弾圧が続いており、2人は隠れキリシタンたちと接触することになります。



隠れキリシタンに向かい入れられるロドリゴ。



到着した村は平和そのもので、村人たちに布教して回る2人。



わらで作った十字架が女の子に手渡されます。



しかし、そこへやって来たのが幕府に仕える役人たち。



キリスト教を信仰していた人たちは次々に捕まえられてしまいました。



自分が教えを授けた人々が捕まる様子を涙ながらに見つめるロドリゴ。



しかし、幕府のキリスト教に対する強硬な姿勢は変わらず続きます。





「君たちを待っているのは苦痛だ」



そしてロドリゴも幕府に捕まってしまうことに……。



「危険すぎる」



「しかし、全ては任務のため」





捕らわれていたフェレイラとの再開。



信じるものは救われるのでしょうか……。



ロドリゴを信じた人たちは拷問され、助けるにはロドリゴが棄教する必要があります。



自分の信仰を守るのか?





それとも、自ら棄教することで信者を助けるのか?





「僕は祈っているが棄教した身だ。僕が祈っているのは『沈黙』なのか……」



映画「沈黙-サイレンス-」は2017年1月21日に日本で公開予定です。



なお、スコセッシ監督がどうして「沈黙」を映画化する作品に選んだのか、その理由は遠藤周作の長男とスコセッシ監督の対談で明かされています。

映画「沈黙」 遠藤周作の長男とスコセッシ監督 公開直前対談で分かった27年の曲折 (1/4) 〈AERA〉|dot.ドット 朝日新聞出版

https://dot.asahi.com/aera/2016111100251.html

・遠藤:数々の候補作品の中から『沈黙』を選ばれた理由について伺っていいですか?

スコセッシ:若い頃、カトリックに傾倒していた時期がありました。神父になりたくて、15歳の頃は神学校に通っていました。結局、退学勧告されてしまいましたけどね(笑)。

 ただその後も、キリスト教やカトリックの価値観は自分の生活の中心でした。そうしたことをいつも考えていると、最終的には人間の本質に迫ることになる。人間の善と悪は一体どこで異なり、しかも善悪が同時に存在するとはどういうことか。映画「沈黙」はそうした思いから自然に発生したものです。「最後の誘惑」をつくった後に小説を読み、その時に人間の本質を探究するというミッションはまだずっと続くものだと悟りました。

遠藤:私が父から映画化の話を引き継いだのが、20年前です。

スコセッシ:周作さんとは一度ニューヨークで、共同脚本家のジェイ・コックスと一緒に会い、映画化の決意を伝えました。1992年頃だと思います。周作さんはジョン・キャロル大学の名誉博士号を受けるために渡米されていました。

・遠藤:私のところにも、「『サイレンス』はなかなかうまくいかないようだよ」とか「ハリウッドのプロデューサーたちが反対しているようだ」などという話が聞こえてきたので、正直、どうなるのかなと思っていた時期もありました。諦めなかったのはなぜですか。

スコセッシ:『沈黙』は信仰そのものだったからです。文化的に異なる世界観、生活感の違い、国による信仰の違いを描きたかった。とにかく「沈黙」を撮りたくて、資金を集めるためにコマーシャルを数本撮ったほどでしたから。

・スコセッシ:私が育ってきたのは、善良な人たちが一生懸命働く社会でした。同時に悪もはびこっていましたが、悪いことをしていても本当の悪人とは言えない人もいた。私は、宗教的な生活をしながら暴力的な世界でどうやって暮らしているのか、不思議でしかたがなかった。私の映画で取り上げるのは、ギャングものでもビジネスものでも、いつもそういうことです。

遠藤:いまの日本は善きものと悪しきものに二分されていて、それが記号的に決められていることも多い。世界的にもそういう風潮にある中、映画を通して、世の中はそうは割り切れないことをみせてほしい。観客としてすごく期待しています。


「沈黙-サイレンス-」の来日記者会見が2016年10月19日に行われ、スコセッシ監督のほか、窪塚洋介、浅野忠信といったキャストが登壇しました。そのときの様子は以下のムービーから確認可能です。

窪塚洋介ハリウッドデビュー マーティン・スコセッシ監督作品『沈黙-サイレンス-』来日記者会見 - YouTube

なお、原作の「沈黙」はAmazonでKindle版が税込550円、単行本が税込909円で販売中です。

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