【脱水症状を防ぐ】寝る前にコップ1杯の水を飲むべき理由

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Fuminners(フミナーズ)読者のみなさんの中には、就寝前にコップ1杯のお水を飲んでから寝るのが習慣、という人はいませんか? 「人間は寝ている間にコップ1杯程度の汗をかくから、水分を取っておいたほうがいい」という話はよく聞きますよね。
 
しかし、よく考えてみると、就寝前ってそんなに喉が渇いているでしょうか? 「喉が渇いているわけではないけど、なんだか水を飲みたくなる」という人もいるかもしれません。喉が渇いているわけでもないのに水が飲みたくなるなんて、不思議ですね。

寝る前に水を飲みたくなるのは、睡眠中の脱水症状を防ぐため

眠る前に水を飲むのは人間だけではありません。マウスも、睡眠に入る2時間前から水を飲む量が増えるのですが、やはり人間と同じく、体内に十分な水分がある状態なのだといいます。身体が水分を必要としているわけではないのに、水分摂取量が増える理由はいったいどこにあるのでしょうか。
 
カナダのマギル大学で、マウスを使用した調査が行われました。
通常、マウスは睡眠2時間前から水分摂取量が増えますが、この調査では睡眠2時間前からマウスの水分摂取を制限しました。すると、睡眠後のマウスには脱水症状が起こっていることが分かったのです。
 
寝る前の水分摂取量を制限すると、睡眠中に脱水症状になってしまう…。この結果は、逆に「就寝前に水分摂取量を増やしていれば脱水症状を未然に防ぐことができる」ということを示唆しています。では、私たちの身体はなぜ、勝手に水を飲みたくなる仕組みになっているのでしょうか?

水分を取りたくなるのは体内時計のしわざ!

実は、脳には「渇き」を感じる役割を果たすニューロン(様々な情報を伝達する神経細胞)、通称「渇きニューロン」があります。体内の水分量が減少し、体内を循環する血液量や血漿の浸透圧が上昇すると、「渇きニューロン」がそれを感知して「喉が渇いた」と脳に感じさせ、「水を飲む」という行動を起こさせます。
 
しかし、寝る前の水分補給の場合は、体内の水分量が減少していなくても渇きを感じるので、何らかの原因で「渇きニューロン」が刺激されていることになります。その理由として、先の大学の研究チームは「概日リズム」をコントロールする脳の領域が関与をしているのではないか、と推測しました。
 
そこでマウスの脳の体内時計を刺激してみると、脳の視床下部にあり、概日リズムを刻む体内時計の機能をもつ視交叉上核(SCN)から、神経ペプチド「バソプレシン」が放出されることがわかりました。バソプレシンには、利尿を妨げたり、血圧を上昇させたりする作用があります。さらに、このバソプレシンが脳の「渇きニューロン」を刺激するかどうかを調査したところ、「渇きニューロン」をオンにしていたことがわかったのです(※1)。
 
つまり、体内の水分量に関わらず、体内時計が睡眠モードに切り替わる際に、概日リズムを司るSCNから分泌された物質が「渇きニューロン」を刺激することで、喉が渇いていなくても水を欲してしまうわけです。このはたらきは、睡眠中に脱水症状を起こさないよう、脳が予見的に私たちを行動させている、とも言い換えられます。
 
眠る前に水が飲みたくなるのは気のせいではなかったんですね。もし仮に喉の渇きを感じていなかったとしても、睡眠中に脱水症状になることを防ぐため、意識的に水分補給しておくのがよさそうです。

睡眠中の脱水症状を防ぐための対策

ちなみに、就寝前に飲むなら、「常温の水」がベストです。お酒やお茶、コーヒーなど、アルコールやカフェインが含まれる飲み物には利尿作用があるため、就寝中に水分を余計に排泄させ、より脱水を起こしやすくしてしまいます(※2)。また、口を開けたまま寝る、乾燥した部屋で寝る、といったことも、脱水症状を引き起こしやすくする要因。マスクをして寝る、部屋の湿度を適度に保っておく、といった対策も、脱水症状の予防には有効なようです。
 
これまでは寝る前になんとなく渇きを感じて、なんとなく水を飲んでいたかもしれませんが、実は身を守るための大切な働きだったとは、驚きですね。「寝る前に水を飲んだらトイレに起きちゃうかも」と控えてしまう人もいますが、せめてコップ1杯程度の水は飲んでおきましょう。
 
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※1 Science News/Study Says Biological Clock Stimulates Thirst before Sleep
※2 寝ている時にのどが渇くのは異常ではなく睡眠時の生理機能

photo:Thinkstock / Getty Images