<外交のプロトコルを知らないことも問題だが、声をかける相手がやっぱりポピュリスト、というのは不安だ>

 アメリカの次期大統領ドナルド・トランプがふりまく話題は、たいていツイートで始まる。今回の「事件」もツイートがきっかけだ。トランプは11月21日、イギリスの右翼政党・イギリス独立党(UKIP)の暫定党首でイギリスのEU(欧州連合)離脱派の広告塔、ナイジェル・ファラージを次の駐米大使に推したいとツイートした。

 トランプが他国の外交に口をはさんだかたちだ。トランプはこれまでも、イギリス政府との正式な外交ルートを通さずにファラージとかかわりを持っており、トランプ新政権の米英関係は前途多難となりそうだ。

 トランプは11月21日夜付けのツイートで、「英国を代表する駐米大使に多くの人がナイジェル・ファラージを望んでいる。彼なら素晴らしい仕事をするだろう!」と述べた。ファラージを支持するトランプのこうしたやり方は外交儀礼を大きく踏み外すもの。11カ月前に着任したばかりのれっきとした駐米大使サー・キム・ダロックとイギリス政府を困惑させている。

白人至上主義者も

 ファラージは、2016年6月に行われたイギリスの国民投票では、EU離脱(ブレグジット)派を勝利に駆り立てた。

 トランプと親交がないイギリスのメイ首相とは異なり、ファラージはトランプと親交のある数少ない外国人の1人だ。トランプは外交政策をめぐる意見を目まぐるしく変え、多数のアメリカ同盟国を不安に陥れている。トランプが先ごろホワイトハウス首席戦略官として指名した白人至上主義者のスティーブ・バノンは、米英二国間の課題についてメイより先にファラージに相談すると明言しており、メイの面目は丸つぶれだ。

 トランプは堂々とファラージの肩を持っており、メイの訪米日程が決まるのを待たずに11月12日にファラージをトランプタワーに招待した(とはいえトランプはメイに対し、大西洋を越えてアメリカに来るようなことがあればぜひ知らせてほしいとも述べている)。トランプはさらに、ファラージの同志であるかのように振る舞い、自身の大統領選挙における勝利は「ブレグジット・プラス・プラス・プラス」と呼ばれることになるだろうとキャンペーン中から公言していた。

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 駐米英国大使の人選に関するトランプのツイートを受けて、イギリス首相官邸はいち早く否定的な見解を示し、ダロック現大使を擁護した。「(駐米英国大使の)ポストに空きはない。すでに優秀な大使が着任している」と、メイ首相の報道官は述べた。

ロビー・グレイマー