『疾風ロンド』で共演した阿部寛と大島優子

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東野圭吾の人気小説を映画化した『疾風ロンド』(11月26日公開)で、阿部寛、大倉忠義、大島優子が映画初共演。阿部は『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』(11)以来5年ぶりに東野作品で主演を務めた。野沢温泉スキー場でのロケが楽しかったと言う3人に、撮影エピソードを鼎談してもらった。

阿部寛は冴えない研究員の栗林和幸役

阿部が演じる研究員・栗林和幸は、盗まれた違法生物兵器を奪還しようとスキー場にやってくる。上司の命で秘密裏にことを進めようと、1人でスキー場を捜索する栗林だったが、スキーの腕がへっぴり腰すぎて大苦戦を強いられる。

阿部は役柄さながらに、スキーをするのは大学生ぶりだったそうだ。「スキーは元々できなかったからそのままでいけました。前もって1日だけ人工スキー場で練習したくらいです。コミカルなシーンが多かったので気持ち的には楽でした」。

そんな栗林をサポートしていくのが、スキー場のパトロール隊員・根津昇平(大倉忠義)と、スノーボードクロスの選手・瀬利千晶(大島優子)だ。「僕は原作をイメージしたまま現場に入りましたが、ああ、こういうことだったのかと。僕はパトロール隊員の役でしたが、スノーモービルに乗るのは気持ち良かったですね。僕はバイクに乗るので、感覚的には大丈夫でした」と大倉は言う。

千晶役の大島は、9歳から続けてきたスノーボードの腕前を遺憾なく発揮している。「今回はプロスノーボーダーに見えなければいけなかったので、プロの方にコツをうかがいました。重心を落とすとか、前かがみにならないとか、手の広げ方やひざの向きに至るまで細かく教えていただきました」。

栗林が雪穴に体ごとすっぽりとハマるシーンは笑いを誘う。大倉は「現場では笑いを堪えるのが大変でした」と告白。「2回目に落ちた時は普通に笑っちゃいました。せっかく助けたのに」。大島も「そこのシーンは参加してないけど、後で観た時すごく面白かったです。身長の高い阿部さんがすっぽりと埋まっていたから。どうやって抜くんだろう?と思いました」と笑う。

また、栗林をマークする怪しい男役で、本作のコメディリリーフを務めたのがムロツヨシだ。阿部はムロとも初共演となった。「ムロさん、存在感を消しながら覗くのが上手いんです。その後がっつり絡むシーンもありましたが、そこでもさすが!という感じでした。全部アドリブみたいな感じでやってくれたので、長いシーンだったけど楽しかったです」。

大島も「面白かったですね。確かムロさんが後ろで転ぶシーンは本来NGだったのにそのまま使われていました」と言うと、大倉もうなずく。「ムロさん、長野にちょっとだけ来て、おいしいところを全部もっていくのはズルいなあと思いました(笑)。でも、すごかったです」と称えた。

頑張ろうと必死になればなるほど空回りしていく栗林。そこには愛すべき不器用さがあると大島は感じている。「栗林は親子関係にしても、今回のスキーにしても、いろいろと不器用なところが浮き彫りになっていると思います。でも愛嬌があり、憎しみをもてないキャラクターですよね。阿部さんはプライベートなところで言うと、シャイな方だという印象を受けましたので、そこらへんは少し栗林に似ているのかなと」。

大倉は阿部について「面と向かってマヌケだとは言えないです」と関西人らしいツッコミを入れ、笑いを取る。「栗林は、僕たちが裏側で見ている阿部さんとは全く違うキャラです。でもリハーサルなどで毎回少し演技を変えたり、いきなり奇声を発せられたりする阿部さんを見ると、栗林のようにおかしな一面がどこかにあるのかなと勝手に思ったりしていました」。

大島は「阿部さんは役者として本当に尊敬します」と言う。「阿部さんは常に役を追求されていくんです。段取り、リハ、本番と、毎回少しずつ変わっていくので、次はどう来るんだろうと思って、私たちもすごくワクワクさせていただきました」。

メガホンをとったのは「サラリーマンNEO」やNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の演出を担当した吉田照幸監督。予測不能のノンストップサスペンスだが、阿部たちのコミカルなやりとりなど、笑いも随所に散りばめられた娯楽作になっている。【取材・文/山崎伸子】