食事はバランスよくほどほどに

写真拡大

「内臓脂肪型肥満」によって内臓脂肪細胞内にある免疫細胞の老化が進み、免疫機能低下や糖尿病や脂質異常、高血圧の進行、心筋梗塞、脳卒中、心不全リスクを高めているとする研究結果が、慶應義塾大学医学部・内科学教室の佐野元昭准教授、白川公亮助教らによって発表された。

「内臓脂肪型肥満」は、運動不足や食べ過ぎによって腹腔内の内臓のまわりに脂肪がついた状態で、お腹だけがぽっこりと出た外見になる。

通常の肥満と異なり、内臓脂肪型肥満の場合、若年時から糖尿病や心血管疾患の発症リスクが高いことが知られていたが、なぜ内臓脂肪の蓄積が、全身の広範な臓器に影響を与えているのか、詳細なメカニズムはわかっていなかった。

研究チームは、免疫応答に異常が生じ、過剰な炎症反応が引き起こされ、その影響が全身に波及しているのではないかと推測。マウス実験によって検証をおこなった。

若齢マウスを高脂肪食グループ(内臓脂肪型肥満マウス)と、通常食グループ(健康マウス)に分類し、14週間後の内臓脂肪内の免疫細胞の状態を比較した。

その結果、肥満マウスの内臓脂肪内では「Tリンパ球(T細胞)」と呼ばれる免疫細胞が極端に老化しており、健康なマウスには老化したTリンパ球はまったく存在していないことが確認された。

老化したTリンパ球は「オステオポンチン」という強力な炎症を誘発する物質を大量に産生し、さらにインスリン抵抗性を引き起こす特殊な性質を持っており、これが生活習慣病や免疫機能低下の原因となっているという。

また、老化したTリンパ球を健康なマウスの内臓脂肪に移植すると、内臓脂肪型肥満ではないにも関わらず、過剰な内臓の炎症やインスリン抵抗性、血液中オステオポンチン濃度の上昇が起きることが確認されている。

研究チームは「原因物質が判明したということは、治療法開発も可能」としており、老化Tリンパ球の除去や、オステオポンチンの抑制を実現できる手法や食生活の研究を進めていくとしている。

発表は2016年11月8日、米国臨床試験学会誌 「Journal of Clinical Investigation」オンライン版に掲載された。

参考論文
Obesity accelerates T cell senescence in murine visceral adipose tissue.
DOI: 10.1172 / JCI88606 PMID:27820698

医師・専門家が監修「Aging Style」