成長スピードはS&P企業の9倍 「サブスクリプション・エコノミー」の衝撃

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雑誌などの定期購読の仕組みから広がったサブスクリプション(定額課金)型のビジネスの成長が著しい。サブスクリプション・ビジネス向けプラットフォームを提供する「Zuora」は先日、拡大する「サブスクリプション・エコノミー」の動向を表す新たな指数を導入したと発表した。

「サブスクリプション・エコノミー・インデックス」と呼ばれるこの指数は、サブスクリプション・ビジネスの成長率を、S&P500企業や米国の小売売上高などのベンチマークと比較したものだ。

Zuoraによると、2012年1月1日から2016年9月30日までの成長率は、サブスクリプション・エコノミーが115.1%であったのに対し、S&P500企業は101.7%、米国小売売上高はECを含めて103.6%だったという。つまり、サブスクリプション・エコノミーはS&P500種企業の9倍、米国小売売上高の4倍の速度で成長したことになる。

Zuoraがトラッキングしているのは、同社のプラットフォームを2年以上利用している353社のビジネスだ。サブスクリプション・ビジネスの指標として一般的に使われるARR(Annual Recurring Revenue、年間経常収益)には一過性の収入が含まれないため、Zuoraは企業ごとの請求書金額を合算してベンチマークと同じ基準で対比させたという。同社は今後、四半期ごとにこの指数を公表する予定だ。

「物を所有する時代」の終焉

「我々はこれまで10年に渡ってサブスクリプション・エコノミーへのシフトを啓蒙してきたが、今が大きな転換期だと感じている。今回の指数でこの流れを証明することができた。消費者は、CDやDVDを買うのをやめ、ストリーミングサービスにシフトしている。ソフトウェア業界でもSaaS(Software as a Service)が主流になっている。今後は自動車業界もサブスクリプション・ビジネスが増え、車の販売台数が減少するだろう」とZuoraのティエン・ツォCEOは話す。

サブスクリプション・ビジネス向けのサービスを展開するZuoraは、指数を公表し急速な成長をアピールすることで、新たな顧客の獲得につなげたい狙いもある。現在、同社の顧客にはデルやフェアファックス・メディア、インフォマティカ、ドキュサインなどの大手をはじめ、800社を超える企業が名を連ねている。

ツォは、半年前にチーフ・データサイエンティストのカール・ゴールドとデータの活用法について議論しているときに、指数の導入を思い付いた。当初、ゴールドは「サブスクリプション・ビジネスがS&P 500企業の2.5倍の速度で成長している」とツォに報告したが、すぐに間違いに気が付き、改めて計算をして9倍に修正した。予想を大きく上回る数字を二人はにわかには信じられず、データに誤りがないか疑ったという。

テック分野で顕著な成長

サブスクリプション・エコノミーの中で最も成長が著しいのはテクノロジー業界だ。中でもセールスフォースやZendeskなどのSaaSや、メディアやテレコミュニケーション分野が他を圧倒している。また、B2BサービスがB2Cサービスの成長を上回り、成長率は前者が122%、後者が116%となっている。

興味深いのは、売上高1億ドル以上の企業が全体の成長を牽引していることだ。「スタートアップがサブスクリプション・エコノミーの成長率を押し上げていると予想していたが、そうではなかった」とツォは話す。

BirchboxやBlue Apronといったサブスクリプション・コマースは知名度こそ高いが、サブスクリプション・エコノミー全体に占めるシェアは小さい。ツォによると、これらの企業の売上も伸び続けているという。

Zuoraは、顧客企業の成長を測るベンチマークとして指数の活用を提案しており、業績を同業他社と簡単に比較できるツールも開発中だ。リリースは2017年中になる見込みで、価格は未定だという。