リファインバース社Webサイトより

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 業務用カーペット事業は、商業ビルやホテルの新規出店やリニューアルなどがあり、大きな成長こそないものの東リやサンゲツ、川島織物セルコン、住江織物などがシェアを占める業界だ。

 そんな業務用カーペット市場の中で、最近注目を集めている新規事業が台頭しつつある。それは、画期的な技術を持って業務用カーペットを再生するという「業務用カーペット再生事業」である。

 オフィスで使用される50cm×50cmのタイルカーペットは、ビルの解体の時だけではなく、テナントの入れ替わりの際に、原状回復工事で必ず張り替えをするために大量に産業廃棄物として出てくるものであり、なおかつ表面が化学繊維、裏は塩化ビニール樹脂といった異素材を貼り合わせたものだけにリサイクルがしづらく「処理困難物」に分類されていた。そのため、従来であれば通常埋め立て地に廃棄されていたものだ。

 しかし、“あらゆる廃材を再資源化する独自技術で、マテリアルリサイクルを実現する循環イノベーション企業”を掲げる「リファインバース」が、こうした使用済みタイルカーペットを再資源化し、再生処理を行い再度タイルカーペットの製造に利用できるリサイクル化の商業化に成功。2016年7月には東証マザーズに上場し、注目を集めているのだ。

 2003年12月、リファインバース社は、産業廃棄物由来の再生樹脂の製造販売を本格的に事業化する目的で設立、2016年7月に東証マザーズに上場した。主要株主には、住友商事株式会社、住江織物株式会社も名を連ねている。同社ホームページには「東京に油田を見つけた企業」と記されている。“東京に油田”とは、原油から製造されたプラスチックを指すのであろう。タイルカーペットがまさに油田である。リファインバースの社名には、従来の物の流れを逆転させ(Inverse)、資源として精製する(Refine)という思いが込められているという。

 リファインバースのビジネスモデルの特長は、産業廃棄物処理事業者でもあるのだから当然とはいえるが、オフィスビル等や他の産業廃棄物事業者からタイルカーペットを回収する際に、最終的にタイルカーペットメーカーに販売することになる再生樹脂の原料であるタイルカーペットを「お金を支払って」調達するのではなく、「お金を貰って」調達することであろう。つまり、再生樹脂の製造販売事業&産業廃棄物の処理事業という両輪があるがゆえに、原料(=産業廃棄物)調達時の「処理受託料」と、再生樹脂原料をメーカーに販売する際の「販売料」という、2つの収益を生み出すことが可能なのだ。

 リファインバース社の今後の成長の可能性は、オフィスビルのテナントの入れ替えが増えること、原状回復時のタイルカーペットの張り替え件数が増えることなどをもって、産業廃棄物処理事業、再生樹脂製造販売事業ともに収益の増加が見込まれている。再生樹脂製造販売事業に特有のものに関しては、再生樹脂ではないバージン樹脂に対して価格競争力を維持できることも成長の原動力になり得るだろう。単純化すれば、原油価格が高い方がバージン樹脂の価格が上昇し、相対的に、リファインバース社の再生樹脂の価格競争力が高まると考えられる。

 現在、オリンピックを控えた東京はインフラ整備やビルなどの建て直しが進み、建設ラッシュの様相を呈しており、企業の新築オフィス物件への移転や拠点統廃合の動きが見られる。不動産の中古物件のリノベーションの需要も増えている。したがって、原状回復時のタイルカーペットの張り替え件数は増加傾向にある。原油価格も上昇してきた。事業環境は、リファインバース社にとって良いものとなっていくだろう。

 現行、リファインバース社は首都圏中心の事業であるので、国内の拠点拡大や海外展開、および再生事業の対象物拡大が今後の成長ドライバーとして考えられよう。

<文/丹羽唯一朗>