トランプの経済政策で懸念される円安と金利上昇

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 アメリカ大統領選でドナルド・トランプ氏が勝ち、大方の予想に反して円安が進行した。こうなったのは、減税やインフラ投資が行なわれるとの期待によって、アメリカの金利が上昇したからだ。

 では、今後さらに円安が進むのだろうか? 以下では、為替レートにはいくつかの不透明な要素があることを指摘する。

トランプ氏の経済政策
財政赤字拡大で金利上昇

 トランプ氏の経済政策はつぎのようなものだ。

(1)法人税率を現在の35%から15%に引き下げる。
 アメリカ連邦法人税収は2013年度で約2800億ドルであり、15年のアメリカのGDPは約18兆ドルなので、減税額はGDPの1%程度になると考えられる。

(2)アメリカ企業(とくにIT企業)の海外留保利益を、アメリカ国内に還流させる。国内に持ち込む際にかかる税金(repatriation tax)を10%にする。ただし、一定期間(タックスホリデー)に限る(なお、アメリカの企業は、約2兆ドルの資産を海外に保有していると言われる。これは、アメリカでもヨーロッパでも問題とされている。EUは、16年8月末に、Appleに対して145億ドルの追加納税を命じた)。

(3)個人所得税の最高税率を39.6%から25%に引き下げる。

(4)以上を合わせると、減税額は、10年間で6兆1503億ドルとされる。

(5)10年間に1兆ドル規模のインフラ投資を行なう。

(6)減税とインフラ投資で、当初は10年間で10兆ドルの歳入不足が発生すると懸念されていた。しかし、個人所得税の減税幅を縮小することなどにより、不足幅は4兆〜5兆ドルに留まると見られている。これは、年率で、GDPの2.2〜2.8%程度だ。12年度の財政赤字の対GDP比は4%程度なので、これがかなり膨らむこととなる。

 このため、長期金利が8%台に跳ね上がるとの予測もなされている。

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