おもしろいこと、この地から。週 刊 東 北! Vol.018/漁師って、カッコいい!展 in 青山

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【毎週水曜 16:00 更新】
写真家の川島小鳥さんが撮影した「気仙沼漁師カレンダー2017」の発売イベント『漁師って、カッコいい!展』が27日までTOBICHI2で行われる。カレンダーを企画した「気仙沼つばき会」の斉藤和枝さん、プロデューサーの竹内順平さんとほぼ日刊イトイ新聞のTOBICHI担当・大高紗耶さんにも加わっていただき、イベントの見どころを語っていただきました。



左からプロデューサーの竹内順平さん、「気仙沼つばき会」の斉藤和枝さん、ほぼ日刊イトイ新聞・TOBICHI担当の大高紗耶さん

◆漁師カレンダーをどうして
つくったのですか?

斉藤さん「気仙沼漁師カレンダーは、気仙沼の産業を支える漁師さんの魅力を発信するために生まれました。2017年版で3作目となりますが、毎回、素晴らしい写真家の方のお力を借りて、少しずつ認知されています。川島小鳥さんが撮ってくださった今回のカレンダーは、これまでとはちょっと違う雰囲気がありますね。ひと言で言えば、かわいい。これに尽きます。

漁師は、自然ありきの仕事。天気が荒れれば船を出せない日も当然あるし、魚が動き出す夜明け前から漁に出ることも日常的です。自然が主体で、さらに海の上だから、五感と経験をフルに使う命がけの仕事になる。学歴に左右されないからか”誰でもなれる”と勘違いされやすいけれど、天候の変化や魚の習性を読む頭の良さ、度胸と運動神経、ほかの船員と円満に仕事する協調性…、すべての面で高い能力が要求される、すごい仕事なんです。

でも、そういう漁師の実情は地元の人ですら知りえないところも多く、彼らのすごさを理解しきれていない部分があるんですね。

だから、このカレンダーを手に取ることで、漁師さんがいることのありがたさを、地元の人にもっともっと感じてほしい。『おらほの町の漁師って、すごいっちゃ!』と、外の人に自慢できるようになってほしい。その上で、より広く多くの人に漁師さんの魅力を発信していけたらと思っています」







川島小鳥さん撮影時の風景。漁師さんと話したり、海の幸を味わったり/発売中のカレンダー。封筒から漁師さんたちの表情が覗くようなデザインになっている

◆「漁師って、カッコいい!展」の
楽しみどころを教えてください。

竹内さん「今回のイベントの大きな特徴は、カレンダーの内容を惜しみなく公開していること。毎月の12枚の写真と後ろに載っているサブカット、漁師さんのメッセージまですべて展示しています。カレンダーをそのまま大きくしたイメージですね。最初は全部見せちゃったら買う楽しみがなくなってしまうかも?と思ったけど、大高さんが「大丈夫」と言ってくださったので」

大高さん「このカレンダーは漁師さんの魅力を伝えることがコンセプトなので、全貌を見てもらったほうがいい気がして。それで気に入ってくれた人に、展覧会の図録のようにカレンダーを手に取ってもらう流れが自然かなと思ったんです。今回の小鳥さんの写真もほのぼのして素敵ですし」





カレンダー掲載写真が並ぶめくるめく「TOBICHI2」の展示空間。川島小鳥さんがとらえた漁師さんの素の表情がたくさん!

斉藤さん「本当にかわいくてやさしい写真ばかりですよね。見るだけでも楽しめると思いますよ。ほかにはどんなものを展示するの?」

竹内さん「漁師さんの道具を展示します。たとえば『新人研修日誌』。漁師になって1年目の新人漁師さんは、右も左もさっぱりわからずに船で約1年を過ごし、日々の航海日誌をFAXで会社に送っていて。今回は3人分展示します。読むだけで笑ってしまったり、その漁師さんの不安も、やる気も、成長も感じられる素敵な日誌ですよ」

斉藤さん「いいアイデアですね! 私も見たことないので興味あります」

大高さん「あとは、言葉の展示もやります。今回は『漁師って、カッコいい!展』なので、漁師さんのかっこいいところを現地でいっぱい聞いて集めてきたんです。漁師さんの奥さんに聞いたプロポーズの言葉とか…」

斉藤さん「おもしろそう! 漁師さんは素敵なこと言いそうだなあ。意外とロマンチストなんですよ」

竹内さん「気仙沼のおいしいものも、たくさんありますよね。和枝さんの斉吉商店さんの『金のさんま』とか、アンカーコーヒーさんの珈琲や焼きドーナツとか。それから、スペシャルイベントとして、26(土)と27(日)には、気仙沼から漁師さんに来てもらっていろいろお話を聞く日もあります(※申込受付は終了)。ほぼ日さんがぜひ、漁師さんを呼ぼうと言ってくださって」









漁師さんの道具の展示も/斉藤和枝さんの「斉吉商店」より、当日並ぶ気仙沼の「うんまいもの」。上より、あみ海老のおかき、さんま節のだしつゆ、金のさんま

大高さん「漁師さんの展示だから、やっぱり“ご本人”に来てほしいですよね。東京の人は漁師さんに会うこともほとんどないですから、盛り上がると思います」

斉藤さん「すごいね。いろいろ企画してくださってありがとうございます。このカレンダーはそもそも復興を目的にしているわけではなく、私たちがそれこそ一方的に『漁師さんの魅力』を伝えたくて、その思いだけで作っているんです。それも、気仙沼の人が喜ぶことに軸足を置いて活動しているから、全国の方になかなか届けられていないのが課題でもあって。でもほぼ日さんは、このカレンダーをみんなで楽しんで共有できるようなイベントを組み立ててくださった。本当にありがたいです」

竹内さん「ほぼ日さんは、漁師カレンダーを最初の年から応援してくれてますもんね」

大高さん「それはたぶん、和枝さんのパワーと思いに圧倒されたからだと思います(笑)。あとは、カレンダー自体が素晴らしいというのが大きいですよね。このイベントで、普段ほぼ日を応援してくださっている人と小鳥さんのファンが混ざったらおもしろいと思うし、その人たちが気仙沼を好きになってくれたらいいなと思っています」

斉藤さん「そうですね。小鳥さんの写真がすごくナチュラルで『気仙沼においで〜』みたいな雰囲気だから、まずは気軽に見てもらいたいですね。写真を通していろいろな方に気仙沼の景色を伝えたいし、私たちがおいしい魚が食べられる背景に漁師さんの頑張りがあることを、ほんの少しでも感じてもらえたら大満足です」



気仙沼漁師カレンダー2017発売記念イベント。カレンダーに掲載された川島小鳥さんの写真や制作動画、漁師さんの道具など、さまざまな角度から“漁師のカッコよさ”を伝える。気仙沼の「うんまいもの」を集めたショップもオープン。

日程/11/23(水)〜27(日)
開館時間/11:00〜19:00 ※26(土)11:00〜17:00、27(日)14:00〜19:00

会場/TOBICHI2
東京都港区南青山4-28-26

WRITING/ASAMI KUMASAKA