サムスンとパナソニックの下請工場に「現代の奴隷」、英紙が報道

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サムスンとパナソニックのサプライヤーの工場で外国人労働者の搾取やハラスメントが横行している実態が明らかになった。英紙ガーディアンが11月21日、ネパール人労働者の話として報じた。

マレーシアにある両社のサプライヤーは、ネパールのブローカーを通じて違法に同国の労働者を採用。長時間労働や劣悪な環境での生活を強要していたとされる。パナソニックとサムスンはいずれも、この問題に関する調査を開始したという。

借金による拘束

問題が指摘されたサプライヤーの工場で働くネパール人労働者は、ブローカーに多額の手数料を支払い出国。支払った料金は、賃金ですぐに相殺できると信じていたという。ネパール政府も労働市場の規制に乗り出しており、ブローカーが外国での就労希望者から受け取る手数料の上限を1万ルピー(約1万円)と定めているが、実際には守られていないのが現状のようだ。

こうした労働者は、仕事に就くために支払った金額を返済するために外国で長期間働かなくてはならない。奴隷状態での就業を余儀なくするもので、「役身折酬(労働による債務返済)」とも呼ばれ、「現代の奴隷」の一つの形態ともされている。サムスンとパナソニックはいずれも、自社のサプライチェーンにおけるこうした雇用・労働環境を禁止している。

劣悪な労働環境

これまでにも伝えられてきたその他の企業の例と同様、こうした外国人労働者の雇用や就業形態には、「ブローカーなどの第三者が原因であり、サプライヤーは規則違反を認識していなかった」という企業側の一見もっともらしい反証が用意されている。労働者以外の全ての当事者にとって、便利な関係が出来上がっているのだ。それぞれが見て見ぬふりをすることで、低コストの労働力を確保することができる。

サムスンの広報担当者は、「マレーシアにある当社の工場が直接雇用している外国人労働者の採用プロセスにおいては、違反行為の証拠は見つかっていない。だが、申し立てがあれば、迅速に対応し調査を行う」と述べている。

一方でガーディアン紙は、明らかな”違反行為”を確認している。労働者たちは1日12時間以上の労働を強要されており、認められる休憩時間はほんのわずかだと訴える。男性労働者らに提供されている住宅は劣悪な環境で、不衛生な1部屋に多ければ14人が寝起きさせられているという。彼らは早くブローカーからの借金を返済したい一心で、こうした状況に耐えているのだ。

パナソニックもサムスンも、サプライチェーンの管理については最高の水準を維持していると主張している。そうであれば、ガーディアン紙が報じた労働者の実情は、両社が自ら掲げた目標を達成できていないことを示すものといえるだろう。

直接雇用であれ、請負業者を通じての採用であれ、多数の労働者が搾取されているという状況は、企業のブランドに傷を付ける。そして同様に、高い評価を受け、信用を得ている企業のサプライチェーン内にこうした労働者たちの存在があるということは、消費者にとっても報道機関にとっても、悲しい事実だ。