満足に出場機会を得られていない海外組は、常にコンディションの不安が付きまとう。写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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 サウジアラビアに勝利し、日本はワールドカップ出場圏内の2位につけた。これで最終予選も折り返し地点。来年3月に迎えるアウェーのUAE戦、ホームのタイ戦に向け、ひとまずハリルホジッチの続投は間違いない。

 本田圭佑、香川真司、岡崎慎司がポジションを失い、日本代表は大競争時代を迎えている。そのきっかけになったのは、コンディション問題だった。

 欧州でプレーする海外組は、合流して中3日、悪い時は中2日で試合を迎えることがある。また、レギュラー争いが厳しい欧州クラブでは、コンスタントに試合に出られないことが多く、ゲーム体力に不安を抱えてしまう。
 
 特にサウジアラビア戦はハイプレス戦術をチョイスしたため、激しいゲームテンポに耐えられるか否か、コンディションの優劣がポイントだった。本田圭佑が外れ、久保裕也が抜てきされたのは、そのような背景がある。
 
 2017年も、この問題を避けて通ることはできないだろう。
 
 特に、今は絶好調の清武弘嗣がセビージャでベンチ外のまま時間を過ごし、いちいち数か月ぶりの公式戦として大一番を迎えてしまうリスクは看過できない。清武、本田、香川だけでなく、吉田麻也や長谷部誠など、多くの選手に不安がある。

 だったら、国内組を使ってよ――。
 
 そんな声も聞こえてくる。コンディションの悪い海外組を使うくらいなら、Jリーグで調子の良い選手を使えと。むしろ、国内中心でメンバーを組んだほうが、環境的な要因に左右されるケースが減る。その意見は、一理ある。
 
 日程に余裕がない昨今のサッカー界で、海外クラブに所属する選手を国際Aマッチデー以外で拘束することは難しい。そのため、世界の代表チームはシンプルな戦術で、大会中に尻上がりにコンディションを高めることがスタンダードになった。
 
 国内組なら、スケジュールを調整しやすいので、頻繁な合宿を行ない、戦術を深化させることも現実的だ。世界のスタンダードではないが、逆に、国内組中心ならではのメリットがある。
 しかし、考慮しなければならないのは、日本代表が戦う相手は、日本人ではないということ。
 
 Jリーグでどんなにドリブルが光っても、「それ、当たりの激しい海外でも同じようにできる?」と。Jリーグで無敵のヘディングを誇るDFにも、「海外の選手にも競り勝てる?」と、どうしても疑念は沸いてしまう。
 
 活躍した日本人Jリーガー=日本代表にふさわしい、とは限らない。この構図には注意が必要だ。
 
 ひとつの指標になるのは、ACLだろう。
 
 今季のACL決勝は、全北現代とアル・アインの対戦になった。ファーストレグは、全北現代が2-1で勝利したが、球際の激しいぶつかり合いで、削り合うシーンが目立つ。ベスト4に残った東アジア勢は、韓国が2クラブ。ベスト8は、韓国が2クラブ、中国が2クラブ。一方、日本勢はラウンド16で浦和とFC東京が敗退し、全滅した。今年だけの傾向ではない。
 
 この戦況で、「コンディションの良い国内組を使ってよ」と言われても、「日本代表が戦う相手は日本人じゃないんだよ」という指摘のほうが、説得力をもっている。
 
 まずはACLでの活躍を見たい。その意味で、筆者は常にJリーグ勢の戦いぶりに注目している。
 
 特に、国内組の起用が必要になるのは、最終予選のラストを飾る、8月末のオーストラリア戦と、9月頭のサウジアラビア戦だ。
 
 来年の3月はアウェーのUAE戦、ホームのタイ戦という流れで、欧州組にとっては移動の負担が小さく、条件は悪くない。また、6月のアウェーのイラク戦も、直前の親善試合も中東の近隣国で組めば、これも欧州組にとって移動負担が小さく、調整もしやすい。
 
 最初の3試合は、欧州組にとっては、比較的やりやすい。問題はその後だ。
 
 8月末のホームのオーストラリア戦は、一度日本まで移動する必要があり、その後、サウジアラビアまで出かけて行く。欧州組にとっては移動負担が大きく、時期としてもオフ明けのシーズン序盤で、コンディションが高まり切らない。この2試合で、突出した国内組の力がほしい。
 
 その試験となるのが、2017年ACLではないか。海外勢とやり合える保証を突きつけ、ACLで活躍できたJリーガーならば、ハリルホジッチも安心して、この大一番でスタメンに送り出せる。
 
 その時こそ、筆者も「コンディションの良い国内組を使ってよ」に乗っかろうと思う。

文:清水英斗(サッカーライター)