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 米大統領選にトランプ氏が当選後、政権移行チームを率いていたクリスティー・ニュージャージー知事が突然降格し、マイク・ペンス次期副大統領がそのポジションに就きました。

 この報道が出た時、関係者の間では驚きと同時に、遂に来たかと言った声がでました。

 クリスティー氏といえば、共和党の指名獲得を争ったライバルの中で初めてトランプ氏を支持した人物。当時、彼の行動には大きな意味がありました。クリスティー氏がトランプ氏支持を表明した時、共和党ではマルコ・ルビオ上院議員への支持が集まり始めていた時。そんな中、突然のトランプ氏への支持表明は大変なインパクトを残しました。

 当時、筆者もこの動きに関して米国の知人にインタビューしたところ、多くの批判の声が聞こえてきました。

「なぜよりによってトランプ氏支持なのか」
「いきなり寝返って何をしたいのか」

 そのような批判を受けながらも、クリスティー氏はトランプ陣営で選挙戦を戦ってきました。順当にいけば、政権移行チームを率いていたクリスティー氏が降格することはなかったはず。いったい何があったのでしょうか?

◆裏で影響力を及ぼす

 現在、クリスティー氏の降格人事に影響を与えた人物は、ジャレッド・クシュナー氏だという意見が多数あります。

 クシュナー氏はトランプ氏の娘、イヴァンカさんの夫で弱冠35歳のユダヤ系米国人です。ハーバード大学を卒業後、ニューヨーク大学でMBAと法学博士を取得。

 トランプ氏と同様、親が不動産で財をなした資産家出身ですが、自らも不動産業で成功経験があるエリートです。そんなクシュナー氏ですが、彼の父親は、脱税、証人買収、違法選挙献金の罪で訴追され、実刑判決を受けています。この際のニュージャージーの検察官が、今回降格したクリスティー氏でありました。

 そんなしがらみもあり、もともとクシュナー氏はクリスティー氏と信頼関係を築けていなかった。だから、次期副大統領候補でもあったクリスティー氏をそのポジションに推薦しなかったのも、クリスティー氏のはずだ。このような声も、米国では最近よく聞こえてきます。

 そんなクシュナー氏ですが、以前にも注目をあびています。選挙対策本部長の解任劇の時も、クシュナー氏の影響力があった可能性があったということです。
6月にトランプ氏が選挙対策本部長であったコーリー・ルワンドウスキ氏を解任したという報道がありました。

 ルワンドウスキ氏はトランプ氏のキャンペーンに最初から関わってきた重要人物。そんな影響力のある人物が解任されたのは、トランプ氏の家族、および、クシュナー氏がルワンドウスキ氏のやり方に賛同していなかった、とする報道が当時から出ていました。トランプ陣営関係者は全てこれらを否定していますが、これがもし事実であるとすれば、この解任劇を機に、クシュナー氏はますます影響力を強めた可能性があります。

◆安倍首相との対談にも姿を現す

 クシュナー氏の性格は、トランプ氏とは異なり物静かなほうだと語られます。メディアにも前面に出てくるタイプでもありません。
 しかし、トランプ氏からの信頼は厚い。安倍首相との会談にもクシュナー氏は参加しました。

 これまでの人事を見ても、そんなクシュナー氏の物静かな姿からは想像できないほどの力と影響力を持っている可能性がうかがえます。

 今後、トランプ政権ができていく中、日本もこのような影響力のある人物への対応を迫られる可能性があります。

<文・岡本泰輔>

【岡本泰輔】
マルチリンガル国際評論家、Lingo Style S.R.L.代表取締役、個人投資家。米国南カリフォルニア大学(USC)経済/数学学部卒業。ドイツ語を短期間で習得後、ドイツ大手ソフトウェア会社であるDATEVに入社。副CEOのアシスタント業務などを通じ、毎日、トップ営業としての努力など、経営者としての働き方を学ぶ。その後、アーンスト&ヤングにてファイナンシャルデューデリジェンス、M&A、企業価値評価等の業務に従事。日系企業のドイツ企業買収に主に関わる。短期間でルーマニア語を習得し、独立。語学コーチング、ルーマニアビジネスコンサルティング、海外向けブランディング、財務、デジタルマーケティング、ITアドバイスなど多方面で活動中。