今年8月末の台風10号(ライオンロック)で甚大な被害を受けた北朝鮮北東部では、家を失った被災者向けの住宅建設が進められており、一部では入居が始まった。ところが、入居した人々の間から体の不調を訴える人が続出している。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、その理由は室内の湿気が猛烈に高いためだという。

「外壁と屋根はペンキを塗ってきれいにしてあるが、部屋の中には家財道具は一つもなく、壁と屋根は結露している。朝起きたら布団がグショグショになるほどで、関節炎を患う人が続出している」(情報筋)

新築の家は元々湿気が高い。コンクリートに水分が残っているからだ。完全に抜くには1年から1年半ほどかかるという。また、養生期間やその後の乾燥期間を十分に取らなかったり、雨が降っている日に基礎工事を行うと、湿気がさらにひどくなるという。つまり、「速度戦」の結果でもあるのだ。

湿気を下げるには、窓を開けっ放しにして換気を続けるのが一番の方法だが、被災地はすでに真冬日となっている。朝鮮中央テレビの天気予報によると、22日の最高気温は恵山(へサン)が氷点下7度、清津(チョンジン)が氷点下1度だ。

次に考えられる方法は、オンドル(床暖房)用の薪を多めにくべて、部屋を暖めることだが、薪が不足していてそれもできない。また、結露防止のためのペンキを塗っても、湿気が高すぎてすぐに剥げてしまう。

そのため、朝起きたら部屋の中に冷凍庫のように霜が張っていて、子どもたちはしもやけになっているという。また、このままではカビが生えて、アレルギー性鼻炎、ぜんそくなどを引き起こしかねない状況だ。

北朝鮮では、「元帥様の人民愛」「党の温かい配慮」を宣伝するために、入居記念行事を開催し、入居者にカラーテレビなどの様々な家財道具を贈るのが一般的だ。

ところが、今回は一部を除いて行事なしで入居が進められ、人々は何一つ持たない状態で入居している。その理由を巡り様々な噂が飛び交っているが、金正恩党委員長が現場を訪れようとしないことが最も有力なようだ。

水害で武器庫が破壊され、大量の銃や弾薬が流出してしまった。その回収がまだ終わっていないため、金正恩氏はテロや暗殺を恐れて被災地に行こうとしないのだ。