悪習慣が直らないのは「無意識8割」で生きるから

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■生活の8割は“自動化”された習慣で成り立っている

運動、片づけ、ダイエット、勉強、早起き、長時間残業……。

私たちの生活の8割は“自動化”された習慣で成り立っていると言っても過言ではありません。自動化された習慣のほとんどは、無意識にやっている癖や習性のようなもののため、もし、そこに重大な問題点があったとしても、意識の焦点を強く当てなければ絶対に改善することはできません。

そこで、今回活用したいのが「見える化」という作業です。

1.なぜ、「見える化」なのか?

私たちには「見える化」すると自分自身を改善したくなる本能のようなものが備わっています。習慣化のコンサルティングをしていると、そのことをつくづく感じるのです。

私たちの脳は、五感の情報に反応します。

見ているもの(視覚)/聞こえたもの(聴覚)/触ったもの(触覚)/味わったもの(味覚)/匂ったもの(嗅覚)

この中で、私たちが情報を最も多く得るのはどれでしょうか?

『産業教育機器システム便覧』によると、情報収集の割合の大きなものから、

視覚器官83%/聴覚11%/臭覚3.5%/触覚1.5%/味覚1.0%

であるとしています。

実験の背景などはさておき、ダントツに視覚からの情報が私たちに影響を与えていることがわかります。つまり、視覚化(見える化)することで、自分自身でもその内容を意識できるのです。

■「紙1枚」で悪習慣カイゼン本能の火が付く!

2.生活習慣も時間の使い方も、「見える化」すると大違い

「見える化」が重要だという理屈だけではピンと来ない人も多いかもしれないので、例を用いて具体的に見ていきましょう。

生活習慣を変えたいビジネスマンのAさん(35歳・既婚・子供1人)は、完全な夜型のライフスタイルです。でも、だらだらと夜更かしするのをやめて、自己啓発のための勉強をしたいと言います。頭が冴えている早朝の時間をうまく活用したい。しかし、意欲とは裏腹に毎日同じ生活を繰り返しています。午前2時になって「あー、今日もこんな時間」とため息をついて寝床につきます。

頭で理解していてもなかなか変えられない。これが習慣引力(いつも通りを維持する心理要因/変化を拒む心理)です。こんなときこそ、「見える化」です。

私は「生活習慣を変えたい」「早起きしたい」といった願望を持っている方には、理想の生活スケジュールを書き、現状と比較することをおすすめしています。

Aさんが書いてみるとこのような内容になりました。

いかがでしょうか?

【a】退社時間が遅すぎるので、オフの時間が深夜にずれ込む。
【b】睡眠不足がたたって、仕事の集中力が不足。その結果、長時間残業に(最低6時間半の睡眠時間を確保)。
【c】朝早めに出社することで集中時間を確保できる。
【d】子供との時間を平日にとることで充実感がアップする。

このように「見える化」すると、私たちの脳は、視覚情報の把握・分析によって、理想と現状の違和感とズレを修正すべく、いろいろと改善アイデアを考え出すのではないでしょうか。発見した問題点を一気に解決できなくても、1つでも2つでもズレを修正できれば、1日のクオリティはぐんと高まるはずです。

■理想と現実の溝を埋めたくなる。それが、人間の性。

次に、毎日23時ぐらいまで社内の突発的な業務に振り回されて疲労困憊の営業担当・Bさん(29歳・独身)のケースを見てみましょう。下の1日の時間割をよくチェックすると、時間の使い方だけでなく、もっと根本的な働き方の変革が必要であることがわかりました。

長年「なんとなく忙しい」と日常生活をほとんど振り返ることなく働き続けるBさんですが、「見える化」をすることで改善ポイントがくっきりと見えてきたのです。

【a】ギリギリ(本日締め切り)の仕事に振り回されている。
【b】リラックスする時間が異常に長い。寝不足によるエネルギー不足が原因。
【c】頭を使う重要な仕事を夜遅くにしていることで余計に時間がかかっている。
【d】印刷トラブルなど日中にやっておけばすぐに解決したことが夜のため解決に時間がかかる。
【e】突発の仕事に振り回され続け、疲れ果てている。

特に目立ったのは長時間残業の悪循環ですが、「見える化」したことであぶりだされた課題点を踏まえ、田中さんは退社時間を19時、出社時間を8時という習慣に変えることを心に決めました。まず、出社・退社時間を改める。そこから徐々に時間割をよりよいものにしようとしたのです。

私たちには「見える化」すると、それを改善せざるを得ない本能に火が付きます。火が付く人を私はたくさん見てきました。軌道修正をして理想と現実のギャップを埋めたくなる。それが、人間の性なのです。

そしてその種火、着火剤となるのが、日々の行動を記録すること。現状の時間割を把握すること。それをタイムラインで整理して「見える化」する。それを眺めているうちに、内なる軌道修正本能に火が付くことを実感できるはずです。なぜなら、改善することで、自分自身で得することがいくつもあるからです。ぜひ、お試しください。

(習慣化コンサルタント 古川武士=文)