「コーポレート・ガバナンス」を企業成長に生かした5社

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真のコーポレート・ガバナンスとは、企業の持続的な成長を実現し、効率的かつ革新的な経営を後押しするものだ。ここで取り上げた5社は、それを証明した。

コーポレート・ガバナンス(企業統治)の真の目的は、企業の本来の姿である「稼ぐ力」を強化することにある。”失われた20年”で低下していた日本企業の国際競争力を復活させ、世界と伍して持続的に成長していくためには、効率的かつ革新的な経営を実現していく必要がある。これを後押しするのが、実はコーポレート・ガバナンスなのである。

2014年、安倍政権が成長戦略としてコーポレート・ガバナンスの強化を掲げた。これを受けて、翌15年には金融庁・東京証券取引所はコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)を策定。日本企業はこれに対応することを求められた。

”枠組み元年”に一石を投じる

しかし、一部の企業はこれを経営の締め上げと捉え、「どうして欧米流のガバナンスを日本に導入する必要があるのか」など、コーポレート・ガバナンスに懐疑的な姿勢を見せた。また、多くの企業はこれに本気で取り組んだわけではなく、社外取締役の数などの数字合わせをするだけの対応で終わらせた。当時のメディアは「コーポレート・ガバナンス元年」などと報じたが、現実は「コーポレート・ガバナンス”枠組み”元年」と言ってもいいレベルの取り組みになっていた。

そんな現状に一石を投じたのが、日本取締役協会が主催した「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」の表彰だった。02年の設立時から、企業成長の仕組みとしてのコーポレート・ガバナンスの普及・啓蒙活動を続けてきた日本取締役協会は、「コーポレートガバナンス・コードに準拠し、ベストプラクティスを実現する企業を発掘・表彰することで、残りの企業群に啓蒙を行いたい」と、この企業表彰を実施することにしたのだ。

「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー」選考の審査委員長で、元日本取引所グループCEO、現KKRジャパン会長の斉藤惇は「日本流のガバナンスにこだわった結果が”失われた20年”であり、国際競争力の低下なのではないか」と、”コーポレート・ガバナンス懐疑派”の主張を退けた上で、こう続ける。

「企業の持続的な成長を実現し、効率的かつ革新的な経営を後押しするためにも、コーポレート・ガバナンスは必要。企業表彰制度を設けたのも、ガバナンスを強化することで、実際に好業績を持続させている企業を表彰によって浮き上がらせることによって、コーポレート・ガバナンスの普及につながるはずだ」

好業績はガバナンスの成果

15年9月からスタートした審査には厳しい基準が設けられた。特に重視されたのが企業の収益性である。同選考の審査委員でもある一橋大学大学院商学研究科特任教授の伊藤邦雄が座長を務めた経産省プロジェクトの最終報告書、いわゆる「伊藤レポート」で掲げた”ROE8%以上”よりも高い”直近3期連続10%以上”が要件に盛り込まれた。また、社会へ利益を還元しうる開かれた企業が望ましいとの観点から特定株主の保有比率が30%を下回ることも要件となった。これに、営業利益の絶対額と過去3年間での増額幅を加点要素として審査した結果、1,888社の東証一部上場企業の中から5つの「Winner Company」が選ばれた。さらにその5社のCEOへのヒアリングを行い、大賞にあたる「Grand Prize Company」1社を決定した。

大賞を受賞したブリヂストンは、「1.米国企業の買収をきっかけに、米国のガバナンスもベンチマーク対象として、自発的にガバナンスの研究を始めている点。2.その体験をもとに現在の日本本社のガバナンス体制を構築している点。3.さらに指名委員会等設置会社に移行、また3委員会のメンバーの大半を社外取締役にしている点ーーなどさまざまな点で先進的なうえ、4.ガバナンスと稼ぐ力との関係を企業として実感している点」が高く評価された。