トンネルを利用するブルーペンギン(出典:https://www.youtube.com)

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ニュージーランド南島、南東部オタゴ地方に位置するオマルーにはペンギンのコロニーがある。世界最小と言われるブルーペンギン(コガタペンギン)を間近で見られるため町にはたくさんの観光客が訪れるが、ペンギンが沖から岸に上がり巣穴に戻るまでの行程は常に危険と隣り合わせだ。町では“少しでも安全に巣穴に帰れるように”と今年9月、ペンギン専用のトンネルが造られた。『edition.cnn.com』ら複数のメディアが伝えている。

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ニュージーランドとオーストラリア南部の沿岸部にのみ生息する体長約30センチ、体重約1キロという世界最小のブルーペンギンは、明け方に海に出かけ、日没後はコロニーに戻ってくる。

直立でなくやや前傾姿勢で歩行する姿は実に可愛らしく、ブルーペンギンの数がピークとなる繁殖期の9月から1月にかけては、オマルー沖から岸に上がってくる様子を一目見ようとたくさんの観光客が訪れる。しかしブルーペンギンが岸からコロニーに戻るには港から続く車の通りの激しい道路を横切らなくてはならず、犬に襲われたり、車のライトで目をやられてしまったり、観光客のカメラのフラッシュにさらされるなど決して安全とは言えなかった。

そこで海洋生物学者であり「オマルー・ブルーペンギン・コロニー」の研究員でもあるフィリッパ・アグニュー氏によって提案されたのが、ブルーペンギン専用のトンネルだった。これに町議会や地元観光業界、土木事業会社などがいち早く賛同、複数の企業や個人からの寄付もあり、道路下のトンネルは約3週間で完成した。ニュージーランドでは初の試みだという。

町を挙げて動物との共存を図っているのはオマルーだけではない。オーストラリアのクリスマス島では毎年10月から11月に、産卵のために約1億2千万ものアカガニが熱帯雨林から海に向かって一斉に移動する。そこではカニ専用のトンネルや橋を造り、カニが安全に海まで辿り着けるよう様々な試みがなされている。

出典:https://www.youtube.com
(TechinsightJapan編集部 A.C.)