「オタク」とは、漫画やアニメ、アイドルなどのサブカルチャーの愛好者を指す。日本ではそんな「オタク」が選挙や世論において自民党を支持するという現象が起きている。資料写真。

写真拡大

「オタク」とは、漫画やアニメ、アイドルなどのサブカルチャーの愛好者を指す。日本ではそんな「オタク」が選挙や世論において自民党を支持するという現象が起きているが、自民党は、「党の革新政策が若者の民意を代表していることを意味している」との見方を示している。実際には、これは単に、サブカルチャー本来の特性や自民党の政治家の戦略、オタクらの特殊な思考が絡み合った結果にすぎない。政治家はその点を利用して、オタクの中でも保守的な人を自分たちの支持者にするという政治戦略を展開している。(文:重慶大学人文社会科学高等研究院の潘■■ 、■は女へんに尼)

▽「保守的なオタク」が自民党を支持する現象

1970年代に誕生したオタク。「保守的なオタク」という概念において、「保守的」というのは、多くの若いオタクが、新たな保守主義やタカ派の姿勢を持つ政治家、政党、政策を支持することを指し、そのようなオタクは、多くの重大な政策をめぐる議論において、自民党を積極的に支持し、自民党の政策を批判するマスコミや民間団体を強く非難する。このような現象は当初、インターネット上で起こり、近年はオフラインの政治演説や選挙などにも拡大するようになっている。

このような現象をどのように説明すれば良いのだろうか?メディアの間では、「一般的ではない生活にはまり、人との付き合いも少なく、社会と疎遠であることから、オタクは戦後の進歩主義の成果を知らず、戦後の主流の最低ラインに挑戦する新保守主義路線を支持するようになっている。一方の政治家の一部は機会を捉えて、オタクは活力あふれる若者の文化を代表しており、新保守主義政策の『革新性』を反映していると主張している」という見方が優勢だ。

▽「オタク」が自民党の支持派に

21世紀に入って以降、一部の保守派の政治家や政党は、若者の票を獲得するために、底流となっている保守的な思想を意図的に利用し始めた。この策略はまず、自民党の麻生太郎氏が編み出し、衆議院解散・総選挙を目前に控えていた2005年7月に、匿名性のある交流掲示板サイト・2ちゃんねるで「オタクの味方」というイメージを少しずつ作り上げた。そして、その後、親しみを感じた一部のオタクの票を実際の選挙で獲得し、支持する声を上げてくれるようにした。06年の小泉純一郎氏の後継を争う自由民主党総裁選挙の最後の街頭演説をする場所には、東京都千代田区の秋葉原を選んだ。

「秋葉原」は、オタクの中でも最も個性的で断片化した人が集まり、戦後の多くの人の価値観とはかけ離れた場所であると同時に、オタクの中でも、保守的、特に極端な右翼思想を持つ人が、自分の主張を公に示すことができる場所でもある。

麻生氏個人のこのような行動は、少しずつ自民党の戦略行為へと変遷していった。12年の衆議院選挙でも、安倍晋三現首相と麻生太郎元首相が選挙前の最後の街頭演説の場所に秋葉原を選んだ。

▽インターネットの新しい利用法

政治家と保守的なオタクの秋葉原でのコラボは一時的なものであるものの、ネット上での連携は日常化するようになっている。近年、多くの人が注目する「保守派の溜まり場」となっているのが動画共有サイト・ニコニコ動画だ。

07年から、ニコニコ動画は、多くの人の間で議論の的となっている政治家を何度も招いてメッセージ動画を配信してきた。ニコニコ動画は議論に偏ってしまうこともあるが、エリート政治家と一般人を同じプラットフォームに置くという路線を採用しており、麻生氏など自民党の政治家の積極的なアプローチもあり、09年、12年、14年には、ニコニコ生放送で党首討論会が行われた。うち、12年の討論会には、10の政党が参加し、視聴者は140万人を超え、50万以上のコメントが寄せられるなど、驚きの反響となった。

▽政治と社会的意識

総合的に見ると、多くの人が懸念を示している「保守的なオタク」は、積極的な面と消極的な面、両方を兼ね備えている。積極的な面とは、「保守的なオタク」はグループとなった利益団体ではなく、若者全体を代表しているとも言えず、単にサブカルチャーやインターネットを利用して感じたことを表現しているだけで、日本人の言う所の一種の「空気」のようなものとなっている点だ。

言い変えれば、インターネット上や街頭で自民党の新保守主義を支持しているオタクらが、強い勢力となって実際の政治に大きな影響を与える存在になることはないということだ。

日本で選挙権年齢が18歳以上に引き下げられ、今年の参議院選挙では、その影響があまり見られなかったものの、若者の考えや賛同していることは今後さらに注目されるようになるに違いない。「オタク」と「政治」の関係について研究することで、「民意」をもっと知るための参考材料になるかもしれない。(提供/人民網日本語版・編集KN)