泉本 行志 / 株式会社アウトブレイン

写真拡大

そのとき、私は「縦の軸」と「横の軸」というものを、

心の中に描いて意識しています。

「縦の軸」とは、あるテーマ・論点に対する深さを表します。
話の抽象度を意味し、下に行くほど内容が具体的で詳細でなっていくイメージです。

一方、「横の軸」は、テーマ・話題の展開を表し、
横にズラすことで、話の矛先が別のテーマ・論点へと移動していく感じです。

たとえば、クライアントが、「離職率が高い」という問題点を挙げ始めたら、
まずは、縦軸に沿って下がり、それは実際どういう状態なのか、少しだけ具体的な内容を探っていきますが、深追いせず、ある程度の抽象度で留めておきます。

クライアントが、より詳細内容を話したいモードに入っても、
そこそこで切り上げて、意識を「横軸」にもっていきます。

1つの問題に最初からあまり深めに入らずに、
ある程度の抽象度を保った状態で概要だけ把握したら、
視点を横軸でズレして別の問題はないかヒヤリングを続けます。


もちろん、プロジェクトで取組むテーマが既にはっきりとした輪郭を持ち、
ヒヤリングの目的が、その具体的な内容を把握することだけであれば、
概要的な話から詳細へという順に、
つまり縦軸を下に降りていけばいいでしょう。

そうではなく、よりふわっとした相談だったり、
優先課題を特定する診断的なヒヤリングの場合では、
最初にクライアント側から出された話の流れで、
どんどん縦軸を下へ下へと、より細かな話へと
深入りしていくのは、とても危険です。

いったん縦軸を深く下ってしまうと、
上に戻ってくることが困難だからです。
クライアントと一緒に思考の枠にはまってしまい、
身動きできなくなる可能性があります。

それを避けるためにも、
最初は、1つ1つの論点には浅く入って、
横軸で話を展開しながら、まず組織が抱えている問題の
全体観を掴むべきです。
その過程で、複数の論点(クライアントが問題点と捉えていること)
の根っこ(共通性)はないか確認することが大事。


最初からどんどん細かな話(クライアントの意見・感想)
に付き合い過ぎると、クライアントと同じ視点で、
同じ思考の枠組みで物事を観るようになり、
そうなると、ただの話相手になってしまいます。

縦軸と横軸を意識して、「引いて」状況を観ることが
外部の支援者に真に求められていることです。