21日、山口泰・元日本銀行副総裁が日本記者クラブで会見、アベノミクスの中核となっている日銀金融政策について、「2%のインフレ目標達成は困難であり、異次元金融緩和、マイナス金利などの副作用が非常に大きい」と指摘した。

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2016年11月21日、山口泰・元日本銀行副総裁が日本記者クラブで会見、アベノミクスの中核となっている日銀金融政策について、「2%のインフレ目標達成は困難であり、異次元金融緩和、マイナス金利などの副作用が非常に大きい」と指摘。黒田東彦日銀総裁が推進している(1)国債発行額の全量80兆円の引き受け(2)ETF(株式投資信託)を通じた株式6兆円購入―など中央銀行としては前例のない政策により、市場機能が働いていないと批判した。その上で、中国人民銀行幹部から「日銀の資金コントロールは社会主義的統制の思想が入り込んでおり問題ではないか」と揶揄(やゆ)されているという逸話を紹介した。発言要旨は次の通り。

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政府日銀は、経済政策の目標としてインフレ率を「2%」に設定して上げようとしているが無理がある。もっと幅広く考えて経済全体のパフォーマンスを上げ、実力相応の所に誘導し持続させることが必要だ。安倍政権の3年間の国内総生産(GDP)は年平均0.5〜0.6%と低迷している。潜在的な成長率が低い中での、異次元金融緩和、マイナス金利政策は副作用が非常に大きい。2%のインフレ目標達成のために金融政策を推進するのはやめた方がいい。

加えて、国民の所得がなかなか増加しない。年間100万人単位で定年退職者が出ている。新しい職に就いても賃金は大幅に上がりにくい。基本的には生産性を上げなければならないがそうなっていない。

国債発行額は借り換えも含めて年間約120兆円だが、日銀がほぼ120兆円を買っている。ネットの国債発行額は約80兆円だが、日銀がほぼ全量を購入している。日銀は市場をコントールできるので、市場参加者が日銀の一挙手一投足を見ながら行動し、市場機能が働いていない。

加えて株式市場では日銀が資金を委託したETF(株式投資信託)が6兆円も購入、巨大な投資家となった日銀は、多くの企業で筆頭株主になっている。中央銀行の株式購入は異例であり、中国人民銀行幹部から「日銀の資金コントロールは社会主義的統制の思想が入り込んで問題ではないか」と指摘されているようだ。株式市場では日銀資金が下支えているが、金融危機に見舞われているならともかく、市場が管理相場になっているのは異常な事態だ。経済の実態をマーケットが反映できない現状は問題である。

これだけ国債発行を引き受けて市場を中央銀行がサポートすると、財政規律が崩れてしまう。我々は今微妙なところを歩いている。(金融緩和政策をやめる)いわゆる「出口」が近づいてくると、様々なリスクが顕在化する。財政・金融を総合的に考えて戦略を講じなければならない。その場合中央銀行の独立性が問われる。

「出口戦略」についての議論はできるだけ早く気がついたところからやるべきだ。米国連邦準備制度理事会(FRB)は、金利の異常高騰などのリスクを予想、回避のためのシナリオをいくつか公表している。どのような影響を受け打撃を受けるか考えなければならない。

人口が減少する中での巨額投資は企業合理性にそぐわない。パイが先行き縮小していくことは企業収益投資にマイナス要因になっている。中長期的な観点から少子化対策に大胆にカネを使う必要がある。(八牧浩行)