トランプが当選する恐怖世界を予期していた映画3選

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もし読者のあなたが、今年の米大統領選でドナルド・トランプが勝利をつかむ様子を、驚きと恐怖に包まれながら見守っていたとしたら、覚えておいてほしい。ハリウッド業界はこの事態をずっと前から予期していたのだ。

本記事では、こうした瞬間についてここ数十年にわたり警鐘を鳴らしていたホラー映画やSF映画の中から、現在の米国の状況を正確に言い当てていた3作品を紹介しよう。(一部ネタバレを含むので注意)

1.「26世紀青年」(日本劇場未公開)

<あらすじ>
くだらないリアリティー番組の見過ぎで人々の知能が病的に低下し、反知性主義がまん延した未来の米国で、聡明とは言えない男が大統領に就任する。

<トランプとの共通点>
ルーク・ウィルソン演じる主人公のジョー・バウアーズはトランプと同じく、政府や外交政策に関する知識や知的好奇心はゼロ。人々を金持ちにすると約束して権力を手に入れるが、それを実現する能力ややる気はない。無知が美徳とされ、事実は忌み嫌われ、うそと無能が奨励される米国で、ジョーは国の指導者として選ばれる。

<予言的なせりふ>
「この国では昔、頭のいい人間がクールだと思われていた。まあ、クールではなかったかもしれないけど、船やピラミッドを造って、月にだって行ったんだ」(ジョー・バウアーズ)

「あんたは母親に不適格よ」(レストランの女性)

2.「ユージュアル・サスペクツ」

<あらすじ>
当局から「間抜け」とみなされ、一見役立たずで手足が不自由なふりをしている男が、作り話と誹謗中傷を駆使して自分についての説得力あるストーリーを作り上げる。ラストシーンで男が実は人々を巧みに操る大悪党であることが判明するが、周囲をまんまと出し抜いた男は盗み取った品を手に行方をくらます。

<トランプとの共通点>
ケヴィン・スペイシー演じるヴァーバル・キントは、本来ならば彼を止められる立場にある人々から徹底的に過小評価される。衝撃のラストシーンで明かされる彼の正体は、冷酷無情で誰もが恐れ嫌う悪人だ。その力の源となっているのは、常人には考えられないような行為も躊躇しない精神であり、敵を打ち負かして自分の思い通りに物事を運ぶためには、自分の妻子を利用することもいとわない。

<予言的なせりふ>
「悪魔が繰り出した最高の芸当は、自分が存在しないのだと全世界に思い込ませたことだ」(ヴァーバル・キント)

3.「マトリックス」

<あらすじ>
平凡な男が「青色」の薬をはねのけて「赤色」の薬をのみ込んだことで、悪夢のような現実世界の真の姿を明らかにする。

<トランプとの共通点>
ヒラリー・クリントンの民主党(青)を拒否し、ドナルド・トランプの共和党(赤)を選んだことで、米国人は未知の次元に足を踏み入れた。長い眠りから目覚める前の私たちは、居心地のいい仮想現実を本物だと錯覚していた。だが実際の世界は、偏見と性差別を称賛するような人々が多く存在し、自由を保障する憲法上の権利がほごにされ、有害な煽動政治家が滑稽なムッソリーニ風指導者として当選して核兵器使用の決定権を手にする場所なのだ。

<予言的なせりふ>
「君は生まれてからずっと、この世界のどこかに違和感を持ってきた。それが何なのかは分からないが、どこかが絶対におかしいという感覚が、まるでささくれのように頭に刺さり、気が狂いそうになる。この感覚が、君を私に引き合わせたのだ」(モーフィアス)

まだ選挙結果に意気消沈しているのなら、これも覚えておいてほしい。今回紹介した作品はいずれも、希望が持てるような結末で終わっている。「26世紀青年」では主人公が最も深刻な環境問題を解決する(その解決策は「植物に水をやる」というものだったが)。「マトリックス」では最終的に、権威主義的な悪者が倒される。「ユージュアル・サスペクツ」でさえ、ヴァーバル・キントことカイザー・ソゼは最後に姿を消し、「彼の声を聞くことは二度とないだろう」と語られているのだから。