10月にLAほかで封切られた「シン・ゴジラ」 Photo by Tommaso Boddi/Getty Images for Funimation

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 この夏、日本中を席巻した「シン・ゴジラ」は、10月から北米でも公開されており、まずまずの成績を記録した。Funimation Filmsという配給会社(「バケモノの子」「君の名は。」も同社配給)によって、10月に490スクリーンで封切られ、これまでに約191万8000ドル(約2億円)の興行収入を記録していることが分かった。

 東京在住の映画ジャーナリスト、ダン・ナイトン氏によれば、「アメリカの評論家のほとんどはポジティブに評価しています。例えばバラエティは、マンネリ化した『バットマン』シリーズが、『バットマン・ビギンズ』としてリブートされて大成功した事例になぞらえて『シン・ゴジラ』を称えています。ニューヨーク・タイムズは『ユーモアが足りない』と不満そうですが、それ以外の多くのメディアは高い評価を与えていますね」

 「シン・ゴジラ」はアメリカの映画ファンの間でも概ね好評だ。トマトの鮮度(フレッシュか腐っているか)で評価するレビューサイトのRottenTomatoでは、86%のユーザーが「フレッシュ」と回答。また、同じくレビューサイトMetacriticのスコアは68ポイントで、つい先日公開された「ファンタスティック・ビースト」よりも高い評価を得ている。

 これらのサイトのユーザーレビューには、非常に興味深いものがある。例えば、「3・11に捧げる映画だと理解した。国家的な危機のシミュレーションを見るようで驚いた」という意見や、さらに踏み込んで「1954年の1作目は、ひどい戦争から回復している日本の苦しみについての物語である一方、『シン・ゴジラ』は同盟国の要求や、官僚政治に閉塞している日本の物語だ」と日本人顔負けの分析を行っているものもある。

 また、2014年のハリウッド版との比較も多い。あるユーザーは、「私が『シン・ゴジラ』の方を好む理由は、核兵器を使わないでゴジラと戦うところだ。アメリカ製作の『GODZILLA ゴジラ』は、結局核兵器で解決しようとした」。

 ちなみに「GODZILLA ゴジラ」は2014年8月に3952スクリーンで全米公開され、最終的に2億ドルの興収を記録している。「シン・ゴジラ」の北米での興行規模はその100分の1でしかない。

 好意的な意見の一方で、「シン・ゴジラ」には「政治討論のシーンが多すぎる」とがっかりしたユーザーも多い。会話が速く、字幕が読みづらいという意見はたくさんあって、何人かのユーザーは、「吹き替え版がないから見に行かない」と発言している。

 このように、アメリカでも好意的に迎えられた「シン・ゴジラ」。あとはDVD発売の際に、英語吹き替え版を収録することが唯一の課題のようだ。