連続テレビ小説「べっぴんさん」(NHK 総合 月〜土 朝8時〜、BSプレミアム 月〜土 あさ7時30分〜)第7週「未来」第42回 11月19日(土)放送より。 
脚本:渡辺千穂 演出: 安達もじり


42話はこんな話


新しいお店は「キアリス」に決まった。そして、
待ちかねた紀夫(永山絢斗)がついに帰って来た!

嬉しい便りだが・・・


たそがれる栄輔(松下優也)。
でも彼は「わしはほんまにあかんわ」「なんでわしはこないに器のちっちゃい男なんや」と反省する。
失恋したことが悲しいのではなく、すみれ(芳根京子)とさくら(河上咲桜)の幸せを喜べないことを良しとしないとは、どこまでいい人なんだ! 
栄輔の考え方は、41話の明美(谷村美月)の台詞生きとったら、会われへんくてもいいやないか。元気に生きとってくれればと通じるものがある。栄輔と明美は真の愛を知っているできた人たちだ。

それぞれの出発


ゆり(蓮佛美沙子)は近江へ行き、はな(菅野美穂)が昔やっていた仕事をすることに。
すみれは「君枝、明美、良子、すみれ」の頭文字を合わせて「キアリス」という名前を店につける。
マークは、クローバーとリスに決定。

4人の名前を足した店名とは、近江にゆりを連れていったお父さん五十八(生瀬勝久)の、これからは若い世代の時代で、みんなが力を合わせて・・・と言う思いと同じ。団結精神の象徴だ。

明美と栄輔、五十八とすみれ・・・伝えたい思いを2人の人物に言わせることで心により深く刺さった。

言葉がないのに伝わってくる


「この年に咲いた桜を栄輔くんもすみれも一生涯忘れることはないでしょう」(語り/菅野美穂)
というわけで、桜が咲いて、紀夫が帰ってきた。
すみれとさくらを見つけた紀夫が頬をつねる。それだけで伝わってくる。「夢じゃないよな、痛てっ」とか言わないのがすばらしい。
そして、最初に「さくら」の名を呼ぶのもすばらしい。
まっくろに汚れた紀夫の腕が、小さくて真っ白ななさくらの腕をつかむ。
そして、さくらに「ただいま」を言って、彼女の腕をとる。じんわりする。栄輔には悪いが、やっぱり紀夫くんしかいない。

中腰が辛くて尻もちをついて、ふらふらする紀夫くんを支えようとするすみれ。これは演出なのか、偶然なのか、どっちにしてもあたたかい笑顔になる画面だった。
最近は、実写よりもアニメーションの表現のほうがリアルなところがあって、例えば公開中のアニメーション映画「この世界の片隅に」を見ると、細やかな人間の動きの可能性を追求しているなあと感心するし、宮崎駿のドキュメンタリー「終わらない人」を見ても、宮崎監督の子供の動きに対する観察眼の細かさとそれを再現しようとする熱情は凄まじいまでだ。「べっぴんさん」はまるで絵を描くように、ハッと目を引く人間の動きを作りたい欲望を感じて頼もしい。

家族揃って、お話は8週から新展開になりそう。さて、これからどうなる?
(木俣冬)